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2009年1月10日の娘【前編】

寝たのか寝ていないのかわからない一夜が明けました。

一緒に泊まってくれた母方の従姉は、結構朝早くから身支度して、ごそごそしてます。
私は7時過ぎに布団から抜け出し、昨夜食べ残したお寿司を朝食代わりにもぐもぐ。

9時頃には、お布団の引き上げ、そして料理屋さんが片付けに次々到着。

葬儀社担当Sさんも登場。葬儀の簡単な打ち合わせの後、折り詰めを受け取りました。
折り詰めの中味は、マグロの握り寿司。

実は前夜、「棺の中にちょっとだけでいいんで、マグロの握り寿司を入れたいのだけれど、頼んでもらうことはできないですか?」とSさんに相談したのです。
Sさんは「それなら」と快くおっしゃり、通夜振る舞い用の料理を持って来てくれた業者に数貫だけ作るよう依頼して下さったのです。

10時過ぎくらいから、親戚が再度集結し始めました。
すぎやんと同じ日にご主人を亡くされた父方の従姉も、「葬儀だけは行くわ」と言って駆けつけてくれました。

Sさんからは、出棺の際に位牌を持つ人、写真を持つ人、ふたをした棺の上に花束を置く人を決めておいてくれと言われていました。
喪主である私が位牌を持つのは決定事項のようなものでしたが、あとは誰に頼むか。

でも私の中ではその役目を担ってほしい人は、一瞬で決まりました。

写真を持ってもらうのは、この従姉以外あり得ません。
なぜなら、自分の意志ですぎやんに時々会いに来てくれていた人は、彼女だけでしたから。

で、彼女に頼むと、

「私でええん?」
「ええん?、って、なんで?」
「他にもいてはるのと、違うん?」
「かまへんやん」

何か妙な具合のやりとりになってしまい、顔を見合わせて大笑い。

開式の時間が近づいてきました。
この日参列してくれた施設スタッフは4人。全員男性。
すぎやんの最期を看取ってくれた施設長さんが、いち早く到着されました。

ふたをした棺の上に花束を置いてもらう人は、彼以外考えられませんでした。
顔を出してくれなかったらどうしようかと、内心ひやひやしていたくらいです。
早速依頼すると、「僕でいいんですか?」と言いつつも、快く引き受けてくれました。

開式直前、Sさんに付き添われ、お寺さんに挨拶とともにお布施をお渡し。

午前11時、開式。
前日の通夜同様、最初にDVDが流された後、お寺さんが入場、読経が始まりました。
参列者が少ないので、葬儀規模によっては一大事となる焼香順位や止め焼香などのことは一切考えず、適当な順番で焼香していただけました。

読経が終了し、喪主挨拶です。
足かけ2日がかりで作成した挨拶を、涙をこらえながら、カンペ片手に読み上げました。


本日はお忙しい中ご会葬いただき、ありがとうございました。
おかげをもちまして、葬儀・告別式も滞りなく終えさせていただきました。

かかりつけのお医者様から、父の血液検査の結果がよくないと精密検査をすすめられたのが、ちょうど2ヶ月前の昨年11月10日のことでした。
それから10日後に入院し、あれよあれよという間に本日この場に立っているという気がして、まだ父が亡くなったという実感がわきません。

ついこの間まで、入院中で絶食中なのに「ハイソフト、買うてこい」とか「ワンカップ、買うてこい」と言ったり、看護師さんに「ここに発泡酒売ってへんか」と聞いたり、主治医に「明日帰れるか」と言って困らせたりしていたのです。

ですが今から15年前の今日1月10日は、私の母が亡くなった命日です。
両親ともガンに冒され、両親とも同じ病院で亡くなりました。
来るべき時が来てしまったのかなという思いもあります。

本日、こうやって私がこの場に立っていられるのは、本日ご参列いただいている皆様が、父と私の15年間を様々な形でサポートして下さったおかげです。
故人共々、厚くお礼申し上げます。

今後とも、父の生前中と変わりなくご交際・ご指導下さいますようお願い申し上げ、御礼のご挨拶とさせていただきます。
本日のご参列、誠にありがとうございました。


いよいよ出棺です。

すぎやんの棺が前に出され、ふたが開けられました。
葬儀社スタッフによって祭壇に供えられたお花がどんどん切り出され、参列者に配られます。

「お花は故人様のお水代わりとなります。たくさん入れてあげて下さいね」

つねちゃんから預かった手紙と、今朝届いた握り寿司は、枕元に置きました。

「昨日、つねちゃんが手紙を持って来てくれたから、ここに置くで。それとお寿司。今頃になって、ごめんな」

そして発泡酒とワンカップ。
親戚に渡して、体の上にたくさんかけてもらいました。

それ以降は、悲しくて、悲しくて、大泣き。
あんなに人前で声をあげて泣いてしまったこと、初めてだったと思います。

私がいつまでもめそめそしているので、ふたが閉められない職員さん。
少し落ち着いた私を見て、「よろしいですか?」とおっしゃり、静かにふたが閉まりました。
そして施設長さんが、用意された花束を棺の上に置いてくれました。

お寺さんを先頭に、位牌を持った私、写真を持った従姉の後を、棺が続きます。
男手が少ないので、参列してくれた施設スタッフ全員が棺を持ってくれました。

会館入り口で待っていた霊柩車に、棺が静かに納められ、会館のすぐ横にある火葬場に向けて出発していきました。
参列者は徒歩で向かいます。

Sさんが、親族以外の参列者4人に「参列者も少ないですし、よろしければ火葬場まで行かれませんか」と声を掛けて下さいました。
私も「もし時間がよろしければ」と言うと、施設長さんが「行きます」とおっしゃり、来て下さいました。

会館から火葬場までは、徒歩2〜3分。
棺は既に、炉の前に安置されていました。

どんな葬儀に行っても、私が一番心が冷えるようなつらさを感じる瞬間が、この光景。
形ある人としての、最後の瞬間が。

炉の前で読経が始まり、全員が焼香を行いました。
終了後、すぎやんが横たわる棺は静かに炉の中に入っていき、扉が閉められました。

もう二度と、形あるすぎやんに会うことはできません。
また、涙がこぼれました。

さよなら、すぎやん。

<後編へ続く>






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