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2009年1月7日の娘

眠りが浅く、何度も目が覚め、何となく寝た気がしない。気付くと泣いている。
そんな一夜が明けました。

朝8時過ぎ、前日お話を聞かせて下さった葬儀社の方から電話がありました。

第1希望は、市営の葬儀会館。日程は、8日が通夜、9日が葬儀。
第2希望は、業者の葬儀会館。日程は、9日が通夜、10日が葬儀。

「残念ですが、(火葬場の)予約1番の方が、市営葬儀場の小さめの部屋を押さえてしまわれました。申し訳ないのですが、第2希望の方になります」

気の毒そうな声を出す、葬儀社の方。
でも私は、「ああ、やっぱり」という思いが強かった。

実は、葬儀が行われることになった10日は、1994年(平成6年)に亡くなった母の祥月命日に当たるのです。
母の亡くなった日のちょうど15年後が、すぎやんの葬儀日に当たるということです。

1月は母の他に、私の母方の祖母、つまりすぎやんにとっては義理の母に当たる人が亡くなった月でもあります。
1990年(平成2年)の元旦に亡くなった祖母のことを、すぎやんは大変慕っていました。生前、よく私の前で堂々と公言していたものです。

「わしは、実の母親は嫌いや。そやけどあの人は好きやった。頭はええし、優しい人やった。ほんまにええ人やった」

すぎやんが入院した11月というのも因縁めいています。
すぎやんが車椅子生活を送るきっかけとなった、くも膜下出血の発症は、ちょうど四半世紀前の1984年(昭和59年)11月のこと。
つまり、すぎやんの車椅子生活は、25年目に入っていたということになります。

ちなみに11月は、私の誕生月にも当たります。
「頭が痛い」と言って寝込んでいたすぎやんを病院に連れて行ったのは、この私。
20歳の誕生日の前日のことでした。

さらに、両親ともガンに冒され、しかも母がかつて勤務し亡くなった病院に、すぎやんも入院することになってしまったという、偶然などという言葉を超越している事実。
不思議な現実に目がくらみそうになりながらも、私はなるべくすぎやんが元気な頃の通りに過ごすように努めていました。

すぎやんの病気が発覚して以来、すべてが1月に集約されそうな予感がしていたけれど、信じたくなかったから。信じたら終わりだと思ったから。
すぎやんと別れる日はいつか必ず来るけれど、もっと先の1月になることを願っていたから。

そういえば、母の時も、似たような偶然がたくさんあったなぁ・・・。

「それでですね・・・」

電話口の葬儀屋さんの声に、我に返った私。

「昨日も申し上げましたが、10日は友引になりますが、ご了解いただけますね?」

友引に当たる日の葬儀はあまり縁起がよくないと、避ける人が多いのです。
ですが私は特にこだわりはないし、これ以上葬儀の日程が延びることの方が困ります。

「大丈夫です」
「あとお寺様ですが、昨日おっしゃっていたお寺様にお願いしてよろしいんですね?」
「はい。ただご無沙汰しているんで」
「そういう方は多いですから、お気になさらなくてもいいですよ。とりあえず、お寺様のご都合もあると思いますんで、これから私がご連絡してみます。小一時間ほど経った頃に、ご挨拶もかねて喪主様の方からもお電話していただけますか」
「わかりました」
「当社でのご葬儀となりましたので、死亡届提出などの手続き一切は、当社が全て行います。通夜まで丸2日あくことになりますので、ゆっくりとご準備を進められますね」
「そうですね」
「とりあえず本日の午後に、一度打ち合わせをいたしましょう」

それで、午後の適当な時間にすぎやんの安置されている霊安室へ行き、打ち合わせをすることになりました。

それからは、親戚へ葬儀日程を連絡したり、お寺に挨拶したりと、電話をし続ける時間が過ぎていきました。
すぎやんがお世話になっている施設にも連絡すると、電話を取って下さったスタッフが悲鳴のような声を出しながら、挨拶して下さいました。

「数日中に、スタッフみんなでお見舞いに行こうって言ってたのに・・・」

施設長さんも出勤しておられたので、前日のお礼の言葉を伝えました。

午後一番に、すぎやんのところに行きました。
昨夜お話を聞かせてくださったSさんが、そのまま我が家の葬儀の担当者となられました。
昨夜の説明時に「お葬儀のてびき」と記されたクリアファイルを渡されたのですが、その中味に従って説明が行われました。

「今、ざーっとご説明しましたが、またその都度ご説明しますからね。そのクリアファイルには、必要な書類をはさんでいって下さい」

そしてSさんに、すぎやんの死亡診断書と印鑑を預けました。

「死亡診断書は、今後必要になるかもしれませんので、数部コピーさせていただきますね」

これから市役所に死亡届を提出しに行って下さるようです。

「まだ時間がありますんで、とりあえず今晩は、遺影用のお写真を選んでおいて下さい。できれば2〜3枚選んでいただければ、こちらでいいのを選びますから」
「わかりました」
「それと、もしお持ちでしたら、思い出のお写真を12〜3枚用意していただければ、それを取り込んでDVDに焼いて、会場で流させていただきます」
「へえ・・・。それで祭壇にテレビが置いてあるんですね」
「もちろん、DVD作成料金が別途必要ということはありませんので、ご安心下さい」

打ち合わせの後は、ずっとすぎやんと過ごしました。
霊安室は空調完備なのですが、ひんやりしていてちょっと寒い。
体中にドライアイスを仕込まれたすぎやん。何度も顔に触れましたが、やっぱり冷たいし、やっぱり目が開くことはありません。
苦しんでいたけれど、苦痛に顔をゆがめたような顔ではなく、とても穏やかな顔をしているのが救いです。

昨夜よく眠れなかったので、接客スペースの座布団を布団代わりにして、しばらくうたたね。

夕方、霊安室に外線から電話が入りました。
翌日から数日帰省するため式に参列できないとおっしゃる、施設スタッフのWさんからでした。

「今晩、仕事帰りにすぎやんの顔を見に行ってもいいですか?」

午後8時過ぎに顔を出して下さったWさんは、かつてフリーペーパーの表紙をすぎやんと一緒に飾った方です。

彼女はすぎやんの顔をじっくり見て、肌に触れ、いろいろ話しかけて下さいました。
「信じられない」という言葉を、何度も口にされていました。

その後、思い出話に花を咲かせ、Wさんは1時間くらいそばにいて下さいました。
翌日から帰省なのに、仕事帰りでお疲れなのに、気の毒なことをしましたが、とても楽しかった。

すぎやんの部屋には、水彩画が描かれた色紙が何枚か貼られていました
これは、以前お世話になった老人保健施設で、すぎやんと同室でとても仲良くしていただいた男性が描かれたもの。すぎやんが老健施設退去時にプレゼントして下さったのです。

なのにすぎやんったら、スタッフに「自分で描いた」と言いふらしてました。

誰も信じる人などいないだろうと思っていたのですが、彼女はその話を本気で信じておられたらしく、のけぞってました。

「えーっ! あれ、すぎやんが描いたものと違うんですか?」
「ちゃいますよ。あれは、いただきもの。うわ、信じてる人がおったんや」
「信じてましたよ〜。『上手やね、すぎやん』って、私、言うてましたもん」
「あんな趣味があるんやったら、私喜んで、道具とか運んでましたわ。すぎやんは趣味というもんがないから、困ってたんやもん」
「それもそうですね・・・」

ふたりで大笑い。

Wさんが帰られてすぐ、私も霊安室を後にしました。
その夜は1時間くらいかけて、遺影候補を含めた十数枚の写真を選び出しました。






コメント
すぎやんさんに沢山のお礼を言いたいです。

初めての書き込みです。

ほんとにありがとうございました。
  • yopi
  • 2009/03/01 7:58 PM
yopiさん、書き込みありがとうございます。
こんなすぎやん、あんなすぎやんでしたが、すぎやんが少しでもyopiさんのお役に立てていたのなら、これほどうれしいことはありません。


間違っていたらごめんなさいですが、もしかして、スタッフの方ですか?
もしそうなら、是非ご連絡下さい。
http://sakura.canvas.ne.jp/spr/hi-homepage/ に行ってもらうと、画面右下に「メール」というボタンがあります。 
  • 2009/03/02 10:36 AM
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