
昼過ぎに病室に行きました。
「つねちゃんが来てくれた。今、帰ったとこや」
「え、ほんま?」
つねちゃんというのは、すぎやんの大好きな施設スタッフ(女性)です。
あわててエレベーターホールまで見に行きましたが、エレベーターは複数あるので、入れ違いになってしまったようです。
「つねちゃんと、男の子が来てくれた」
「誰?」
「いつも部屋に来てくれるやつや」
「Mさんのこと?」
「おう、そいつや」
2人がお見舞いに来てくれたのが、すぎやんは本当にうれしかったみたいです。
「退院したら宴会をしようと約束した」と何度も繰り返し言い続けていました。
ちょっと里心が付いてしまったようです。
前日に電話連絡があった輸血の同意書が、床頭台に置かれていました。
ざっと目を通し、すぎやんに署名させ、家族の署名欄に私の名前を記入、捺印していると、主治医が登場。
私の顔を見た主治医、「あ、ちょうどよかったわ」と言ってナースステーションにとって返し、「腹部血管造影検査」の同意書を持って来られました。
「腹部血管造影検査」とは、太ももの付け根(そけい部)の動脈からカテーテル(管)を入れ、そこから造影剤を入れて血管を撮影する検査です。
肝臓、すい臓、腎臓などの血管に異常があるかどうかが、この検査でわかります。
造影剤が体に入ると、熱さを感じるらしいです。
24年前に受けた血管造影検査で、身をよじるほどの熱さを感じたらしいすぎやん。その経験がすり込まれてしまって、忘れられないようです。
「あの熱いやつやな」
「そうです。以前やられたことがあると思いますよ」
検査は、5日の午後3時頃から実施される予定だそうです。
さらに、輸血についての説明も受けました。
すぎやんの貧血は、入院前よりさらに進んでいるようです。
「この間採血して調べましたら、ヘモグロビンの値が2とか3になっているんです。輸血をしたら、値が7くらいまでは戻ると思います」
書面には、濃厚赤血球を800ml輸血する予定と記載されていました。
「食べ物が下に落ちていかないから、それを何とかしないと、ね」
先生はそうすぎやんに言い聞かせ、病室を出ていかれました。
サインを済ませた輸血と血管造影検査の同意書を、ナースステーションに提出しておきました。
入院当初は寝ていることが多かったのですが、ここ数日は布団をたたみ、ベッドサイドに座っているか、布団を枕にして寝転んでいることが多くなってきました。
だけどあまり食欲もなく、無理して食べるとえずきそうになる時もあるようです。
そんなすぎやんですが、「ようなった。もう治った」と言い張ります。
私は、「十二指腸のできものは、全然消えてません。根本的には何にも治ってません」と言い返します。
言い合いしていると、看護師さんが輸血セットを持って登場。
ベッドサイドに座っていたすぎやんに、看護師さんは寝転ぶよう指示されました。
輸血開始前には、体温や血圧を計測し、すぎやんに異常がないかを再確認。
そして、点滴開始後5分は看護師さんが付きそう、輸血開始後は定期的に血圧などを測定して見守るとおっしゃり、「気分が悪くなったりしたら、すぐに言って下さいね」と、すぎやんに念押し後、輸血がスタートしました。

看護師さんが離れている時、「しょんべんや」と言い出したすぎやん。
でも起き上がることができないので、寝たまま用を足さなければなりません。
輸血中のすぎやん、自分で自分の「モノ」を出すことができないので、私がパジャマと下着の穴から引っ張り出すことに。
「どこにあるんや」
「立派なんがあるやろ」
「何が立派やな」
引っ張り出したすぎやん曰く「立派なモノ」を尿器に近づけ、無事寝転びながらの排尿に成功しました。
「トイレに行きたくなったら、すぐ看護婦さんを呼ぶんやで」と、何度も言い聞かせ続けています。
すぎやんも「ここは病院やから、頼らな損やな」と、やっと言い出しました。
しんどいんだろうなぁ。
JUGEMテーマ:それでも続く日々……の中で。







