
尿器にためていた尿をこぼすという失敗を、またやらかしてしまったらしいすぎやん。
今度はスタッフにバレてしまったようです。
「ズボンも座布団もパンツも、全部洗ってもろうた」
「洗ってもらったん? それやったらよかった」
「洗わんでかまへんって言うたけど、『すぎやん、くさいで』って言われた」
「そら、そやわ」
こういう類の失敗をまたするんじゃないかなって予想して、洗い替え用として特売で購入した座布団を、ちょうどこの日持って行ってました。
早速、車椅子にセット。
「だから、慌てんと(建物の)中に入ってしなあかんって」
「わしも年取った。こんな失敗、せんかってんけど」
ちょっとしょぼんとしてました。
ここのところ、何ともいえずしんどそうな雰囲気のすぎやん。だけど本人に聞いても、「大丈夫や、しんどない」と突っぱねます。
施設やかかりつけの医師からも何も連絡はないのですが、特にここ数ヶ月の様子を見ていると、何だか胸騒ぎがするのです。
すぎやんがやたらと気弱な言葉を出すようになったことも、私が不安を抱く要因のひとつです。
「朝起きたら、手と足が治ってて、しゃんと動いてたらええのにって思う。そやけど、夢やな」
「そうやなぁ・・・それは夢に近いなぁ。でもすぎやんと同じ事、他にもたくさんの人が思うてるで、きっと」
左半身麻痺の状態になって、既に24年ですからね・・・。
足の腫れもひかないままなので、最近のリハビリはもっぱらマッサージ。でもすぎやんにとってのリハビリは、あくまで歩行練習。
物足りなくて、かなりストレスが溜まってます。
「こんなことしとったら、歩けるかどうかわからへん」
「そんなことないって。そんな足が腫れた状態で歩いたら、よけいにあかんやん。時間はあるんやから」
「そうや。先生も『すぎやん、時間はあるで』って言いよる」
「ちゃんと薬を飲んでるから、もうけいれん発作は起こらんようになったやろ? これで1つようなったってことやん。次は足をなんとかする。順番に1つずつ悪いとこを消していかんとしゃあないやん」
完全に親子の立場が逆転してますね・・・。
さらにこの日は、翌日の朝食後に服用する薬を、この日の昼間に飲んでしまったらしく、少々パニックに陥ってます。
すぎやんは1年ほど前から、「週間投薬カレンダー」を使用して、自分で薬を管理しています。

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定期的に来られる薬剤師さんが、そのカレンダーに薬を入れて下さいます。
すぎやんは食事毎に、自分で薬を取りだして服用し、飲み終わった薬の空袋をカレンダーに戻します。
そしてスタッフが、その空袋を回収することで飲み忘れなどをチェックして下さってます。
薬の飲み間違いがスタッフにバレることが恥ずかしい、意地っ張りすぎやん。
そこで私は、「この日の昼食後に飲む予定だった薬を、明日の朝に飲めばいいんとちゃう?」という、まるで悪魔のささやきのようなアドバイスを与えました。
すぎやん、再度パニック。
「ややこしいな」と言いつつも、何度か説明すると、次第に理解できてきた様子です。
本当はこんなアドバイスをしてはいけないのですが、薬の管理を施設側に任せている利用者さんが多い中、すぎやんはまがりなりにも自分で管理しています。
1度や2度の失敗ならスタッフに内緒にしておいてもいいんじゃないかな、と思ったのです。すぎやんのプライドを守るためにも。
「そのかわり、先生がちゃんと薬が効くように出してくれたはるんやから、間違えて飲まんように気を付けなあかんで。せっかくの薬が効かんようになるで」
「そやな。任してもろうてるんやから、間違えんようにしなあかんな」
いろいろありますねぇ・・・。
JUGEMテーマ:それでも続く日々……の中で。