2008年10月5日のすぎやん

2008年10月5日のすぎやん


雨だったので、徒歩ですぎやんの所へ向かいました。

すぎやんの話の中によく出てくる不動産屋さんの前を通りかかると、シャッターが閉められ、「テナント募集中」の張り紙が。
びっくりしてよく見ると、市内中心部へ移転されたとのお知らせがありました。

「すぎやん」と呼んで下さっていた従業員の男性とは、すっかり意気投合していたらしいので、寂しがっているだろうなと思いつつ部屋に入り、このことを伝えると、

「え、ほんまか?」

当地での営業は9月末までだったのですが、天気がよくない日が続いたこともあり、店の前まで行っていなかったようです。
案の定、ちょっとがっかりした様子でした。

「そやけど、このへんにようけ物件持ったはるんやろ? また会えるって」
「そや、見回りに来よる。ちゃりんこに乗って」

冷蔵庫を開けると、ハイソフトが2箱入っていました。

「いつ買ったん?」
「金曜日やったかな・・・木曜日かな・・・」

引き出しの中に入っていたレシートの日付は、木曜日でした。

ひとりで買いに行ったらしいのですが、最近では施設とスーパーの自力での往復が、かなりきつくなってきた様子。
施設に来た当初は、ひとりで勝手にあちこち出歩き、スタッフの皆さんを困らせたものなのですが、確実に時は流れました。

「この頃、盗み酒ができんようになってしもうた」
「盗み酒?」
「コンビニとかで買うて、外で飲んでたんや。そんなんしたら、帰られへん」
「・・・」
「この頃は、発泡酒飲んだだけで、まわるようになってしもうた。年やのう」

施設の夕食は6時からです。この日はいつもより早く、5時半頃に食事が運ばれてきました。

「ここは中華ばっかりや」
「中華とちゃうやん」


すぎやんの夕食


でもまぁ、あんかけ肉団子なので、中華の部類かな。

「いいだこ、食ってくれへんか」
「食べたらええやん」
「歯がないから、食われへん」

それもそうだと思い、ぱくり。おいしく炊けてました。






2008年10月12日のすぎやん

2008年10月12日のすぎやん


すぎやんの部屋に向かっていると、キッチンスタッフから「『今日はもう来よらへん』っておっしゃってお待ちですよ」と声を掛けられました。

部屋に入ろうとすると、トイレ掃除中のスタッフにも「4時半頃までには来よる」とか、「誰かとデートしてるんや」などと訴えていました。
いつもより少し到着が遅かったので、心配してくれていたらしいです。

テレビで仕入れたネタを、私に早速披露するすぎやん。

「あいつ、死によったな」
「誰?」
「あの・・社長や」

ああ、「ロス疑惑」の、あの方ですね。

「社長って、誰?」
「ええっと・・・三浦や」
「正解! じゃあ、下の名前は?」

時間はかかりましたが、何とか思い出しました。

それから、こんなことも言ってました。

「座頭市、あったやろ。勝新がやっとった」
「うん」
「今度、女座頭市があるらしいぞ」
「え、ほんまに? 誰が座頭市やるん?」
「知らん」
「知らん、って、それが一番大事なことやん」
「座頭市を女がやるんや、っていうことだけ見てた」

テレビでやるらしいとすぎやんが言い張るので、とりあえず向こう1週間のテレビ欄をチェックしたが、記載されていません。
この話はこれっきりになったのですが、気になったので、家に帰って真偽のほどを調べてみました。

テレビ欄に載っていないはずです。映画なのですから。

テレビ欄を見ていたすぎやん、何がきっかけか、突然「敵は本能寺にあり」と言い出しました。
でも、信長・秀吉・光秀・家康の区別が付かず、話がむちゃくちゃ。

「本能寺で死んだん、誰?」
「信長」
「信長を本能寺で討ったんは?」
「猿や。草履取りをしとったんや」
「それは、秀吉やん」

草履取りの話は、以後2〜3回繰り返されました。

「・・・光秀か」
「正解。なら、光秀を討ったんは?」
「・・・信長」

信長さんは、もう死んでます。

「信長、光秀に殺されたんやろ」
「そうか、ええっと、誰やったかな」

さっきまできちんと答えていた「秀吉」が、もう思い出せません。
で、「信長を討ったのは光秀、光秀を討ったのは信長」という無限ループに陥ってます。

聞いているとおもしろいんですが、話が終わらないので、質問を替えました。

「じゃあ、江戸の初代将軍は?」
「・・・家光」
「それは三代将軍。えらい飛んでしもうたな」
「ええっと、吉宗・・・は違うか」
「それは八代将軍」
「吉宗は、松平やな。座頭市は勝新」

話、それてます、それてます。

結局、家康の名前は出ず。

何はともあれ、翌日から新シリーズが始まる「水戸黄門」を楽しみにしている様子です。
でも楽しみにしているのは、どうも印籠シーンだけのようですが。






2008年10月13日のすぎやん

2008年10月13日のすぎやん


数ヶ月前にホットプレートを購入。
すぎやんはお好み焼きが大好物。それで前々から、家でお好み焼きを焼いて一緒に食べようと考えていました。

その計画を実行に移そうと、前日からキャベツや肉などを買い込んで準備していました。
雨だったり寒かったりの天気なら中止する必要があったのですが、朝起きてみると、とてもいい天気。抜けるような青空で、暖かい。

お好み焼きパーティー、開催決定。

11時過ぎに施設に行くと、すぎやんは散歩中でしたが、すぐ戻ってきました。

「家でお好み焼き焼いて食べへん?」
「食う!」

で、車椅子を押して、のんびりと家に向かいました。

実は、お好み焼きを自分ひとりで焼くのは、初体験。
ホットプレートを温めている間にキャベツを切り、お好み焼き用の粉を練り、天かすなどを入れ、いざチャレンジ。

すぎやんは元気な頃、よくお好み焼きを焼いてくれたものです。
時は流れ、この日は私が焼いています。

どきどきしましたが、見栄えはまあまあの出来。味の方も、「うまい」というお褒めの言葉を頂けました。
すぎやんは、やや小さめのお好み焼きを1枚半平らげました。


お好み焼きを食べるすぎやん


お好み焼きの前でVサイン


ホットプレートを使うと、他にも焼きそばとかいろいろできるけど、ひとりだとフライパンで間に合わせてしまうという私の話を聞いたすぎやん、へんなことを言い出しました。

「お前は、親父が彼氏やな」
「ええ〜、こんな彼氏、嫌やわ」

二人でゲラゲラ笑い合った後、すぎやんは再び語り出します。

「冗談や。そんなんは、あかん。昔は、父親が娘と一緒になるっていうのがあったんや」
「あー、そういう話、今でも聞くで。母親と息子っていうパターンもあるらしいわ」
「そういうのを昔、わしらは『親子丼』と言うたんや」
「親子丼?」
「おう。そやけど、そういう奴は犬畜生以下や。人間はそういうのを、理性で抑えるもんや。それがでけへん親子丼は最低なんや」

珍しく、えらく真剣に語っていました。

食事中も食後も、すぎやんは他にもいろいろ話していましたが、そのほとんどが昔話です。
あそこへ行くには、どこそこの道路を通って、たばこ屋の角を右に曲がって、とか、30年〜40年も前の話を鮮明に語ります。
でも、数時間前に食べた朝食のメニューは思い出せない。

新しい記憶の積み重ねが、ここ1年くらいで更に困難になったようです。
すぎやんの言う「この間」がいつのことなのかが、私にも把握できません。
最近の出来事は、話半分くらいで聞いておかないと、当てにならなくなりました。

3時前には施設に連れ帰り、しばらく休憩してから部屋を出ました。
そのまま帰ろうとすると、キッチンスタッフが「コーヒーでもどうですか?」と声を掛けて下さいました。

ちょうどおやつの時間帯。
誘われるまま談話室の椅子に座ると、すぐに2人の女性入所者さんがやってきました。
お二人とも80代後半。持病はあるものの、ご自分で歩き、しっかりとしたお話をされる方たちです。

でもお一人は適当に忘れっぽく、もうお一人はかなりの記憶力の持ち主。
だからこの2人がしゃべると、話がかみ合わないことが多い。
その様子が何ともおかしい。

コーヒーを飲みながら3人で話し始め、超ど級の昔話を1時間ほど拝聴する羽目に。
楽しいひとときだったのですが、すぎやんの相手をした後だったので、ちょいと疲れました。






2008年10月19日のすぎやん

2008年10月19日のすぎやん


ベッドに寝転んでいたすぎやん。ふと車椅子の上の座布団を見ると、濡れています。

「これ、どうしたん?」
「・・・こぼした・・・」

散歩をしている時にトイレに行きたくなっても、施設の中に戻って用を足すのが面倒なすぎやん。そこでどうしているかというと、木陰や物陰でズボンを下ろし、尿器を使って用を足しているのです。

以前から、「それはやめてほしい。やめた方がいい」と何度も言っているのです。スタッフからも言われているはずです。
でも、ダメです。聞きません。

「部屋に戻るのがめんどくさい」
「部屋に戻らんでも、玄関の近くに共用トイレがあるから、そこを使わしてもろうたらええやん」
「(施設の)中に入ったら、鍵を開けてくれと頼むんが、めんどくさい」

施設玄関には、簡単な暗証番号で解錠可能なロックがかかっています。
以前は自分で解錠して外出していたのですが、いつ頃からかスタッフに声を掛けて解錠してもらうようになったのです。

「なんぼ物陰でやっとっても、近所はマンションだらけやから、丸見えやで」
「ちゃんと陰でやってる、見えへん」
「そやけど、高い所からやったら見えるで。毎日そんなことしていたら、絶対近所から苦情が来るで」

いくら物陰でやっているとはいえ、外での用足しは、あせりの原因になります。
ましてや片手での作業。尿器がすぐに傾いてしまうのです。
結果、尿器にたまった尿がこぼれてしまう。

スタッフに洗濯を頼んでもよかったのですが、一応本人のプライドを優先し、家に持ち帰って洗うことにしました。
「どないしようかと思うてた」と不安げなすぎやんでしたが、「パンツは濡らしてへん」と、へんなところで胸を張っていました。

晩酌用の発泡酒を第三のビールに変更して、約1ヶ月。
アサヒの「極旨」のストックがなくなり、この日からはサッポロの「麦とホップ」をしばらく運びます。

発泡酒ではないということは、相変わらず内緒です。

「今飲んでるビール、どう?」
「今ひとつやのう。ずっと生搾りやったから、慣れへん」

メーカーの違いもあるだろうけど、発泡酒と第三のビールって、やっぱり味が違うのね。

「そう? 今度はまた違うの買うたから、また感想聞かせて」
「言うの悪いかなと思うて、黙ってたんや。わし、アサヒ嫌いやから」

「ビール=サッポロ」が染みついて離れないすぎやん。
なんでこんなにかたくななんだろう。

「かまへんで。私飲まれへんから、味がわからへんし。気に入らんかったら、また違うの探すから教えて」
「次は何を買うたんや」
「内緒。飲む時にわかるやん」

今度はどんな感想が聞けるかな。






2008年10月26日のすぎやん

2008年10月26日のすぎやん


ベッドに寝転んでテレビを見ていたすぎやん。

「何見てるん?」
「わからん」

わからんって、どういうこと?

ぶつぶつ言いながらテレビ欄で確認すると、「どうぶつ奇想天外!」でした。
なぜ日曜日の夕方に放映されているのかわからないまま、知床の沖合で泳ぐ鯨に見入るすぎやんと私。

「でかいなぁ」
「でかいのう」

しばらくは、このセリフの応酬でした。鯨は本当に大きくて、小さいテレビでも迫力が伝わってきました。
すぎやんは鯨について、こう結論づけました。

「結局、鯨が一番怖いのは人間や。みな食うてまいよるからな」

そして、こう続けます。

「知床は、ええとこ(いい所)や」
「ええとこなんや。それやったら家族で旅行しようかな、とは思わんの?」
「仕事で行っただけや」
「でもな、妻や子供を連れてきてやろうかな、とは思わへんの?」
「忙しかったんや」

すぎやんが「ええとこや」と教えてくれた所に、家族旅行したことなど、ただの一度もありません。
すぎやんって運転が大好きなので、頼めばいつでも車を出してくれます。母の勤務先の同僚の引っ越しの手伝いまでしてくれることもありました。

だけど、自分から「どこかへドライブに行こう」とは言ったことがありません。
そういう心遣いは、考えもつかないようです。

「そやけど、実際に見たいな、こんなん」
「そうやな。見る価値あるぞ」

鯨だけで、話が30分近く続きました。

もうすぐ11月です。

「今着てる服で、寒くない?」
「寒うない。暑い。昨日はフルチンでおった」

開いた口がふさがらない私。

「最近は、やらしい映画は見やんようにしてる」
「何、それ。もしかしてもう、役に立たへん、って思ってるん?」
「そやなぁ、もうあかんな。そやけど男は、ここだけとちゃうぞ」

自分の大事な所を指さしつつ、すぎやん、衝撃発言。

「男は、ハートや」

ハートって! なんてすぎやんに似合わん言葉!

「それと、ここや」

自分の口を指さして、「どれだけ口で騙すかや」。

言いたい放題です。

そんなすぎやん、カレンダーを見て11月の3連休に気付いた様子です。

「11月3日って、何の日?」

数分かかって「文化の日」と答えてくれましたが、正解が出るまで「秋分の日、いや、節分か」と逡巡したあげく、「体育」。

もう、むちゃくちゃです。






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