2008年8月3日のすぎやん

2008年8月3日のすぎやん


部屋に冷房を入れ、元気そうな顔で出迎えてくれたすぎやん。

暑いせいもあり、ここのところはあまり外出していない様子です。
でも、去年までは午後の暑い時間帯でも日陰で過ごしていることが多かったことを思うと、様子が変わったなぁと思います。

「足の腫れ、引いたやろ?」

最近口にする、お決まりのセリフです。

左足が腫れるようになって、ずいぶん時間が経ちました。右足まで腫れていた一時期よりは、確かに状況は改善されました。
ただ、左足の状態はまだまだです。


2年前の様子
腫れた左足


現在の様子
現在の左足の様子


「引いたとは思うんやけど、足首が割と細いから、腫れが目立つんや」
「そうや、すぎやんは足がスマートや、ってスタッフが言いよる」

そこに食いつきますか。

ところで、「昔、婚礼家具運搬作業に行き、作業終了後にお客さんと一緒になってどんちゃん騒ぎをしていた」という話を、以前からよく聞かされていました。
大型トレーラーを運転していた、という話も聞いていました。

ただ、「すぎやんは結局、何の仕事をメインに任されていたのか」ということが、私には今ひとつわかりませんでした。
で、この日いろいろ聞いてみました。

油断すると、「わしは何でもやった。婚礼なんかはベテラン社員が行かんかったら、段取りがわからんからあかんのや」などという自慢モードに陥るすぎやんから詳細を聞くのは、非常に骨が折れました。

小型から超大型まで、いろいろな車に乗ったようですが、一番多かったのが「10トン車での配送」だったらしいです。

「手が空いている時には、駅の小荷物を運んどった。(昭和20年代後半には)オート三輪で薪やら練炭やらを運んで、全身真っ黒けになったもんや」

免許取得前は、自転車で小荷物を配達していたこともあったとのこと。

「もしかして隙間から、みかんとかりんご、ちょろまかしたとか?」
「・・・たまにな。そやけど配達に行ったら、(その場で)ようもろた」

いい時代です。

「明治製菓とかに返品になるお菓子を、よう取ったわ」
「はい? どうやって?」
「どっかから明治製菓に返品になるお菓子があったんや。ちょっと割れてたりするだけやから、上等や。そやから箱あけて、会社のみんなで取ったわ。受け取る方も全然チェックしよらへんから、わからへん」

在庫管理が徹底されている現代では、まず考えられません。

一番楽しかったらしいのが、婚礼家具運搬作業。
作業終了後には、ごちそうやらお酒やらがふるまわれ、帰りにはお土産も持たされ、チップまではずんでくれるというので、希望者多数。
そのため、交代で順番が回ってきたそうです。

当然のごとく、帰り道は飲酒運転。でも捕まったことはないそうです。

「婚礼は、積み込み方が難しいんや。人に見せるように、タンスは背中合わせに積む。その合間に、布団やら長持やらをうまいこと積んで、最後に三面鏡や。紅白の布のかけ方も、コツを知ってんとでけへん。嫁入り先に荷物を運び入れる時は、最初に三面鏡を入れなあかんかった」

三面鏡が女性の象徴とされていた時代の風習です。

こういった仕事は、すぎやんが40代を迎えた頃にはなくなってしまい、その後は引っ越し作業だけになってしまったようです。

すぎやんの現役時代が、こういうおおらかな時代で本当によかったと、つくづく思います。






2008年8月10日のすぎやん

2008年8月10日のすぎやん


ベッドに寝転んでテレビを見ていたすぎやん。

「足の腫れ、引いたやろ?」
「・・・相変わらず、頭の腫れは治らへんな(すぎやんは、相変わらずおばかなことを言っているね、という意味の比喩です)
「頭の腫れと、口の悪いのは治らへん」

そんな丁々発止のやりとりを始めてすぐ、スタッフのなかちゃん(女性)が入室してこられました。
聞くと、タンスの取っ手が取れてしまい、ボンドでくっつけても浮いてしまってうまくくっつかない。取っ手を留めているネジがむき出しになり、ちょっと危険な状態なんです、とのこと。

見ると、確かに取っ手には、ボンドを何度もつけて下さった形跡があります。でももうこのままでは、うまくくっつかないでしょう。
ボンドを完璧に除去するか、別の取っ手を買わないとダメです。

「危ないですから、ここには近づかないで下さいね、って何度も言ってるんです」
「わしはそんなとこ、絶対に近づかへん」

なかちゃんはすぎやんに話しかけてへん、っちゅうねん。

なかちゃんに、早急に何とかします、お手数かけますとか話していると、

「タンス、100均で買えや」
「100均ではタンスなんて、売ってません!」

思わずハモった、なかちゃんと私。

むき出しになったネジは危険なので、目に付きやすいよう、とりあえず紙を貼っておくことにしました。

タンス応急処置

とにかく私たちの会話にいちいち突っ込んでくる、子供のようなすぎやん。

「すぎやんはなかちゃんのこと、好きやもんなぁ」
「おう」
「わ、うれしい」

喜ぶなかちゃん。

「そやけど、ここ(のスタッフの中)には、美人はおらへん」
「え?」
「つねちゃんも、美人とちゃう」
「わ、つねちゃんに言うとこ」

2人の他愛もない会話に、思わず苦笑いする私。
そこで、「かわいい、っていうことやんな?」と助け船。

「そうや、美人とかわいいは、ちゃう」

なかちゃんが退室後、すぎやんは「最近、めまいがする」と言い出しました。

「いつ頃から?」
「いつ頃、やったかな・・・」
「まぁ、ええわ。どんな風なん?」
「寝転んで、左を向いたらあかんのや」

そんな話をしていると、フットバスを持って別のスタッフが入室してこられました。
そこで、そのスタッフに、めまいの話をすぎやんから話してもらいました。

左を向いて寝ていると目がまわるような感じになる、起きてしばらくそのままじっとしているとおさまる。車椅子に乗っている時などは、全く問題ない。
要約すればそのような内容のことを言うのに、どれだけ回り道をしたことか。

「大げさに言うな。入院はいやじゃ」
「私かっていやや。入院せんために、早めに言うとくんやんか」

施設内の看護師さんに伝えてもらうよう、お願いしておきました。

ところで、ここからは私の愚痴なのですが・・・。

ちょっと前から私は施設の方から、「ワゴンを購入してほしい」と依頼されていました。

本来は談話室兼食堂で食事をしなければいけないのですが、認知症の方と顔を合わせるのを嫌がっているすぎやんは、昼食・夕食は自室で食べています。
食事は施設のワゴンで運ばれてきます。すぎやんはそのままそのワゴンを使って食事をして、自分でキッチンまでワゴンを押して下膳しているのです。

食事毎にすぎやんが施設のワゴンを拝借しているので、「すぎやんが普段使う物だから、購入してほしい」という依頼が来たというわけです。
でもちょっと納得がいかなかったので、何も言わずに放置していました。

そして今月に入り、「ワゴンとフットバスの件でお話があるので、事務所まで来てほしい」というメッセージが届いたので、この日事務所に顔を出しました。

予想通り、ワゴンについては購入してほしいとの依頼でした。
またフットバスについても、機械の調子がいいなら問題ないが、もしすぎやん専用にするなら、購入してほしいというお話でした。

だけどワゴンについては、すぎやんが完全に占有しているわけではありません。使用後はきちんと返却しています。
それを「普段使う物だから」という理由付けで購入を迫るのは、どうも納得がいきません。

施設で使っているワゴンが、すぎやんが短時間でも占有することで不足してしまうから困る、というのが本当の理由だとは思います。
でも、なぜそれをもっとはっきり言ってくれないのでしょう。

フットバスについても、施設内には数台あり、他の利用者さんと共有しています。
ただすぎやんは、入浴日以外は毎日使用しているので、占有率が高いのは確かです。

だけどすぎやんは、往診の医師からの指示でフットバスを使用しているのです。

医療上必要な器具だから購入してほしいと、もっと早く言ってきてくれていたら、こんな気持ちにはなりませんでした。
「今度機械の調子が悪くなったら、購入してほしい」と言い出すのが、どうにも納得できないのです。

だいたい、施設所有の器具ならば早急に修理するのは当たり前でしょう。
そんなことまで、私からお願いしないといけないのでしょうか。

機械の調子が悪かった期間は結構長かったですが、それについての説明は施設から一切ありませんでしたからね。
おかげですぎやんは、「わしはどうせ、見捨てられてるんや」という疑心暗鬼に陥りました。

「修理しろ」とやたらしつこく言い続けたすぎやんも悪いけれど、何か「そんなに言うなら自分で買え」と逆ギレされたような印象を受けてしまいました。

それと、甲子園の件でも謝罪を受けました。

毎年、高校野球を観戦するために、スタッフの方に甲子園に連れて行って頂いてました。
この夏は、それが中止になりました。理由は「人手不足」。

施設の本音としては、「私が連れて行けばよい」ということなのでしょう。
確かにそうかもしれませんが、甲子園観戦はここ数年の恒例行事で、すぎやん自らスタッフに「今年も連れてってな」と言っているのです。

人員的に無理なら、なぜもっと早く私に相談してくれないのでしょう。
大体、「人手不足」を理由にするというのもおかしな話です。

ワゴン、フットバス、甲子園と、どれも些細なことです。
文句を言わずに黙ってワゴンやフットバスを買えば、時間をやりくりして私がすぎやんを甲子園まで連れて行けば、問題ないことです。
でも、うまく言えないのですが、何か違和感があるのです。もやもやするのです。

このもやもやした気分は、しばらく治まりそうにありません。






2008年8月12日のすぎやん

2008年8月12日のすぎやん


先日取れてしまった、タンスの取っ手。

近所のホームセンターで物色してみたのですが、こんな物がバラで売っているんですねぇ。普段DIYには縁がない私、大きさ・種類の豊富さにびっくり。
5分くらいチェックして、タンスの色や雰囲気に合うような感じの物を1個購入、カッターナイフ、瞬間接着剤、金槌、テープなどを携えて、取り付けに行きました。

日中はものすごく暑かったので、日が沈んでから訪問。それでもすぎやんの部屋の暑さは、尋常ではありません。
体感室温は30度以上ありそうなのに、外からの風も吹き込んでこないのに、冷房なしのエコモード。

私を殺す気ですか。

「引き出し、開けにくいんや」とぼやくものの、すぎやんはタンスの取っ手には興味がありません。
だから、私が床に座り込んで、取っ手を取り付けているのなんて、全く見ていません。
数秒ごとに違う話題を投げかけ、しゃべりかけてきます。

たとえて言うなら、仕事に集中したいのにやたらまとわりつく、うっとうしい上司のような感じ。

少し黙っていていただけないでしょうかね、すぎやん。

家から持って行った瞬間接着剤、とほほなことに固まってしまってました。
仕方がないので、施設にあるボンドをお借りすることに。

ボンドを待っている間、カーテンレールのチェック。
カーテンの開閉がスムーズにできないと、すぎやんは私に先日から訴えていたのです。

ベッドの上にあるカーテンを閉める時、カーテンに手が届かないすぎやんは、カーテンを強引に自分の杖に引っかけ、手前に引っ張るという荒技で閉めています。カーテンを開ける時は、手で思い切り向こうに押す方法で開けてます。

「片手片足で不自由やのに、ようやってるやろ」

隙さえあれば、自画自賛してます。

レールに油をさし、何とかスムーズになったので「カーテン、試しに閉めてみて」と頼むと、

「(テレビの上の)トラックの部品が取れてる、って(リハビリの)先生が言うとった」

人がカーテンをチェックしているのに、全く関係ない話を持ち出します。
見たら、確かに取れてましたけど。

とにかく、一貫性のない話を思いつくまましゃべり続けるので、1つの物事が終了するまでにやたら時間がかかります。
すぎやんの口を、誰か止めてくれないだろうか。

そうこうしているうちにボンドが届き、取っ手をぺたりと貼り付けました。

「まだぐらぐらしてるし、触ったら取れるかもわからへん。最低1日は、触らんといてな」
「わしは、触るなと言われたとこは、絶対触らへん」

「絶対、絶対」と連呼するすぎやんですが、すぎやんの「絶対」が「絶対」であったためしがない。

取っ手の上に再度紙を貼り付け、取っ手に触れない状態にして、この日の大工仕事は終了。






2008年8月17日のすぎやん

2008年8月17日のすぎやん


部屋に入ると、すぎやんは高校野球の準決勝第2試合を観戦中。

「横浜、もうちょっとやると思うてんけど、桐蔭が勝つな」

すぎやんのお言葉通り、大阪桐蔭が横浜を破り、決勝戦に進出。

先日貼り付けたタンスの取っ手は、紙をかぶせた状態が保たれていました。チェックしたら、無事ひっついた様子です。
よかった、よかった。

それよりも、壁に貼り付けているフックが夜中に落ちてきたことに、文句を言われました。
そのフックにはカレンダーを掛けていたので、かなり盛大な音がしたらしく、

「夜中に、ばさーってカレンダーが落ちてきてみ、びっくりするぞ」
「肝試しになって、ええやん」
「あほ、びっくりして目を覚ますわい」

そこで、あらかじめ持ち込んでおいた3種類のフックを出し、どれを貼ろうかなと選んでいると、

「そんなもんまで置いてるんかい」
「うん。いつこうなるか、わからへんもん」
「お前はよう気が付くのう」

お褒めにあずかり、ありがとうございます。

すぎやんとしゃべりながら、いつになくだらだらとフックを貼り付けていると、フットバスを持って来てくれたスタッフに、「いつになったら(フックが)付くかわからへん。ちょっとやったら休憩しとる」と、私の様子を告げ口するすぎやん。

午前中、家の大掃除をして疲れていたからなのですが、よく見ていらっしゃいますね。

北京オリンピックで金メダルをゲットした、北島選手の話題になりました。

「水泳の北島、国民栄誉賞やな」
「そうらしいな。検討中らしいな」
「あいつ、これからごっついことCMに出よんぞ」

また出た、すぎやん得意の欲まみれ話。

「わしにももらえへんかな、国民栄誉賞」
「・・・いやあ、すぎやんがそんなんもらったら、娘的には困るんやけどな」

相変わらず「世の中、みな金や」と言い放つすぎやんに、ちょっと鎌をかけてみました。

「へぇ、すぎやんの人生の中で大事なんは、お金なんや。で、私は?」
「・・・1番は娘や。2番が金」
「3番は?」
「命やな」
「お金があっても命がなかったら、何にもならへんやん」

私、大爆笑。
ちなみに、「4番は娯楽、5番は美食」とのこと。

その後、帰るまでに数回確認しましたが、「1番は娘」の言葉はなし。 ポロリ






2008年8月21日のすぎやん

2008年8月21日のすぎやん


先日ここで愚痴ってしまった、すぎやんが食事時に使用するワゴンの件。

保管のことも考えて折りたたみ式の方がよいだろうと考え、ネットで物色した商品を注文し、施設へ直送してもらうよう依頼していました。
この日商品が到着したとの連絡があり、夕方の買い物を済ませてから、すぎやんの所へ行きました。

ネットショップの商品説明では、「完成品」と記載されていました。
それなのに開梱してみると、キャスターと共に、ちっちゃいスパナがころんと出てきました。

「完成品とちゃうやん!」

私がぶつぶつ言いながら、キャスターを取り付けているのに、すぎやんはちっとも興味を示しません。

「今日は涼しかった。ずっと外におった」
「今日はこれから、『いきなり!黄金伝説』がある」

壊れたレコードのように、何度も繰り返していました。
「いきなり!黄金伝説」が、そんなに好きですか。

キャスターを付け終わり、テプラで作った名前シールをワゴンにぺたり。


ワゴン


「お前の選ぶもんは違う。わしと頭のできが違うな」

キッチンスタッフにワゴンを持って来たことを話すと、夜勤スタッフも呼んで下さいました。
とりあえず今日のところは、部屋の隅にワゴンをたたんで置いておくこと、食事時にスタッフにワゴンを取りに来てもらい、それに乗せて食事を運んできてもらうこと、などを打ち合わせました。

すぎやんも、スタッフからワゴンの件について聞かされていたらしく、「これで気兼ねせんでええな」と言ってました。
今でも少しもやもやしていますが、仕方がないのでしょうね。

作業が終わり、お腹もすいてきた私。
「帰るわ」と言いつつ立ち上がると、すぎやんはスーパーの袋からはみ出している青ネギに目を留めました。

「それ、何や?」
「ネギ。青ネギや」

青ネギ好きな私。カットして冷凍庫に常備しているのです。


青ネギ
写真提供元:瀬戸内青葱出荷組合様ホームページ
ちなみに買ったのは1束。こんなたくさん買ってません。



「ネギ? そんなもん買うてどないするんや? 植えるんか?」
「食べるに決まってるやん! こんなん植えても、育たへん」

笑いながら答えましたが、すぎやんから見た私は、高校生くらいで止まってます。
だから、「原材料から料理をする私」が、たぶん想像できないのでしょうね。






2008年8月24日のすぎやん

2008年8月24日のすぎやん


すぎやんはベッドに寝転んで、テレビを見ていました。

「上沼恵美子、ハワイに別荘持っとる」

テレビを見ると、上沼恵美子さんがハワイにあるご自分の別荘を公開して、ゲストに料理をふるまっています。
その合間には、ゲストを引き連れて観光したり、地元のスーパーで大騒ぎしながら買い物したり。

彼女は、大阪ローカル番組(一部は全国ネット)のレギュラーを、ほとんど全てのチャンネルで持っています。さらに、この日のような特番も時々放送されます。
レギュラー・特番ともに高視聴率をたたき出す、大阪の視聴率女王です。

ちなみに、大阪の視聴率王は、やしきたかじん様。
この2人が顔を揃えれば、ほうっておいてもおもしろい番組が、数本できます。

「しゃべるし、そこそこ歌も歌いよるし、こいつは何でもしよる」
「そやな、漫才もうまかったし。大阪の主やからな」
「そや。たかじんも、こいつには頭が上がらんのや」

ハワイの映像を見たすぎやん、久々に戦争スイッチオン。
太平洋戦争の超基礎講座を聴かされることに。

(すぎやんの言葉をそのまま書き起こしています。歴史的見解の相違・誤りについては、突っ込まないで下さいね。)

真珠湾を日本軍が襲撃して、戦争が始まったんや。
その後、日本の戦艦が全部アメリカにやられてしもうた。サイパンやら硫黄島がやられたら、しまいや。
沖縄でえらい戦いになって、アメリカが飛行場作って、そこから日本のあちこちへ空襲に行きよったんや。

そんなことをひとしきり語った後、こう聞かれました。

「お前はハワイに行ったんやろ?」
「ハワイは行ったことない」
「海外旅行に行ったことあるって、言うとったやんけ」
「海外はハワイだけとちゃうで」
「どこ行ったんや」
「シンガポールとマレーシア。場所、わからんやろ?」

そう言った私に、すぎやんは衝撃の言葉を発しました。

「あそこやろ、支那」

シナ! 何て懐かしい言葉!
でもすぎやんの年代だと「支那=中国」なのですが、話の流れからすると、南・東シナ海あたりだということを理解している様子。

「・・・まぁ、そうや。あのへんやな」
「あっこらは、一番日本がえげつないことしたとこや」
「そやな」
「アメリカやらの国やったとこや」
「両方とも、もうとっくに独立したで」
「ほんまか」
「私、旅行に行ったん、もう20年くらい前やもん」

そんなことをしゃべっていると、フットバスを持ったスタッフ登場。
お気に入りのなかちゃんなので、すぎやんは早速彼女をからかい始めます。

「あ、彼女が来た」
「彼女? 私何番目ですか?」
「一番や」
「一番は、つねちゃん(女性スタッフ)のくせに」
「わし、最近静かやのう? おるやおらんや、わからんのう?」
「誰が静かです? どの口がそんなことを言うてるんですか?」

すぎやんの軽口に上手に乗ってくれるスタッフに、私は感謝の気持ちで一杯です。






2008年8月31日のすぎやん

2008年8月31日のすぎやん


施設には、月1度くらいの割合で散髪屋さんがやってきます。
数日前に散髪してもらって、ほぼ丸刈り状態のすぎやん。すっきりした様子です。

「耳に髪の毛がかかってたから、いらいらしてた。すっきりした」

テレビからは、浪曲が聞こえてきます。

「珍しいな、浪曲なんて」
「見るもん、あらへんからな」
「そう?」
「わし、割と浪曲好きやぞ」
「そうやったっけ?」
「昔、近所の寺によう浪曲師が来たもんや。人、いっぱいやった。映画もようかかったもんや」

お寺が公民館の役割を果たしていた頃の話です。

そんな話をしていたかと思うと、すぎやんは突然違う話を始めます。
まるで、こだま・ひびきの漫才のようです。

「最近は、日通のやつも走っとんな」
「?」
「宅急便のやつ、車から荷物持って、走って行きよる。日通のやつは、とろとろ歩いてたけど、最近は走っとる」
「あれも数をこなさなあかんからな」
「歩合やろ。わしらの頃には考えられん」

すぎやんは、もと日通勤務。

「まぁ日通も、もともと国営やから」
「半官半民、っちゅうやっちゃ」
「昔は荷物は、郵便局か駅へ持っていかなあかんかったんやろ?」
「そうや。小さい荷物は郵便局、大きい荷物は駅の小荷物、かなり大きいのは日通で運ぶことになっとったんや」

昭和20〜30年代くらいの話です。

「集荷なんてせえへんかったんやろ?」
「まずせんな」
「そこに宅急便が目を付けたらしいで」
「配達かって、ええかげんなもんや。団地やったら階段下まで。チップやらたばこやらもらったら、玄関まで運んだった」

今、そんな対応したら、即刻解雇ですね。

「今考えたら、せこいわなぁ。わしには苦情集中や。会社かってわしみたいなん、雇ってたんやから」
「あかんわなぁ」

そうこうしているうちに、足浴タイム。だけど、フットバスの泡の出が悪く、スタッフと一緒になってあちこちのボタンを押すすぎやん。
しばらくしたら、無事泡が出始めました。

そこから、施設長さんへの愚痴スイッチがオン。

「どうせあいつ(施設長さん)は頼りにならん。えらそうにスーツとか着やがって。前は半袖半パンツやったのに」

元々介護スタッフだった施設長さん。すぎやんはその時代の彼が忘れられないのです。
しかし、彼の服装を責めたところで、どうしようもありません。

「困ったこととか、おかしいこととかは施設長さんに直接言うのはかまへん。そやけど、えらいさんやねんから、スーツ着なあかんのは、しゃあないやん。お客さんと会ったり、面接もしなあかんし・・・」
「本部にも行きよるし」
「そうそう。本人かって暑がりやねんから、スーツなんか嫌に決まってるやん。そやから、少しは立場っていうもんも、わかってあげて」
「あいつも前に言うとった。いろいろあるんやで、悩みもあるし、って」

すぎやんが施設長さんのことをニックネームで言う時はご機嫌で、「施設長」って言う時は不機嫌です。ものすごくわかりやすいサインです。
すぎやんはもともと思い込みが激しいので、何かきっかけがあればすぐひがんでしまいます。なかなか扱いづらいです。

そんなすぎやん、相変わらず散歩にも時々出かけているようです。

牛すじが大好物だと話したら、近所のコンビニの店員が「おでんのすじがあるよ」って教えてくれたとか、ウォーキングをしている同年代の男性や、近くのスーパーに買い物に行く女性から話しかけられるとか、いろいろな話をしてくれます。

不平・不満は多々あると思いますが、変わらずマイペースな日々を過ごしてほしいと思う、今日この頃です。






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