2008年4月6日のすぎやん

2008年4月6日のすぎやん


ものすごく暖かくて空は真っ青。桜も満開。極上のお花見日和です。

以前からすぎやんと、「暖かくなったら家に帰ろう」と約束していましたが、こんな良い日を逃す手はありません。すぎやんが大好きなお寿司を出前に取って、一緒にお昼を食べようと考え、午前中に迎えに行きました。

「天気もええし、マンションに行かへん?」
「行く!」

施設から私の住むマンションまで、のんびり歩いて15分ほど。
「覚えている」とはきっぱり言うものの、マンションまでの道順や周りの景色についての記憶があやふやです。

マンションの北側には、池があります。池の畔には、桜の木がたくさんあります。
池にはアヒルが泳いでいます。

あひる

冬になるとカモもやって来て、白と茶色が水面をスイスイ。
時には、「クワー」という鳴き声も入り乱れていました。

まずは、池とアヒルと周りの桜を観賞。でもすぎやんは、きょろきょろしてちっとも落ち着きません。
あげく、池のそばから見えるわがマンションを見て、

「あれがお前のマンションか。ちっともわからんかった」

マンション玄関のスロープを見て、「絶対1人では上がられへん」。
エレベータに乗ると、「早いのう」。
ドアの手作り表札を見て、「もっとええのをこさえろ(作れ)」。

以前戻った時とまるっきり同じ感想を、この日も繰り返しました。

お昼はお寿司にしよう、と声を掛け、出前のメニューを渡しました。
いろいろ迷っていましたが、結局チョイスしたのは「マグロと鉄火の盛り合わせ」

マグロづくしです。

初めて注文する所だったので、おいしいのかどうかは賭けでした。
届いた商品を見て、少し量が多いかなと思ったのですが、すぎやんはきれいに平らげ、「うまかった」とご満悦でした。確かに、おいしかったです。
その後、お茶を出すと「あがり付きや」と言ってました。

いつも通り、なんだかんだと話をしましたが、この日一番のすぎやんの関心事は、これ。
今度の土曜日(12日)に、施設長のOさんとの飲み会開催決定。


飲み会告知



この日は、施設主催のお花見(近くにある地元では有名な桜の名所で、お弁当を食べる会)があるのですが、その日の夜にすぎやんの部屋で一杯やりましょうと言われたらしいのです。

「昨日の晩、あいつ、部屋に入ってきよって、『2人で飲みましょう』って言われた。それを、ホワイトボードに書いときよった」
「『あて(つまみ)は何にしましょうか。あ、すぎやんは、天ぷらですね』と言われたわ」
「土曜日、楽しみや。(12日は)今週か、来週か?」

これらのセリフ、壊れたテープレコーダーのように、何度も何度も繰り返していました。
「12日の飲み会」を待ち焦がれるすぎやんは、遠足前日の子供のようです。

すぎやんの住む施設は、この春で開設6年目に入りました。Oさんは、施設開設当初から勤務しておられます。最初は介護スタッフとして働いておられたのですが、そのうちに事務方になられ、今は施設長。
すぎやんも、施設開設当初からの住人です。直接いろいろとお世話いただいたOさんのことが、大好きなのです。だから、彼が管理職になってしまったのが、本当はものすごく寂しいのです。

ところで、ここのところ暖かい日が続いているのに、一向に外出しないので、スタッフの方も心配されている様子です。
去年までは、4月の声を聞いた瞬間に外に飛び出していたのに。

「わしはもう老い先短い」
「まだ最低20年は大丈夫。これ、見てみ」


血液検査結果


今年の初め、「C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ」という新聞広告が掲載されました。
手術経験豊富なすぎやん、当然輸血をされています。見ると、時期や医療機関など、検査推奨対象者としてばっちりあてはまっています。
それで、主治医の先生にお願いし、念のために血液検査を依頼したのです。

送られてきたのはその結果で、C型肝炎には罹患していないというメッセージの後に、こんな一言が。


血液検査結果(先生のメッセージ)


「全く異常は認められへんらしいで。全く、やで」
「そうか、まだまだ生きるな、わし」

2人で大笑い。

数時間、あほな話を2人で続け、夕方近くに施設に連れ帰りました。
自室に入るなり、「今度はいつ連れて帰ってくれる?」と言われました。それも2〜3回連続で。

今、部屋に戻ったばっかりやし。




2008年4月12日のすぎやん

2008年4月12日のすぎやん


施設主催のお花見が開催されました。この日の参加者は、1階住人の皆さん。
介助の都合上、階毎の開催なのです。
車で会場まで送ってもらえると言うので部屋で待っていると、施設長さんが顔を出され、「お迎え、どうされますか?」

お茶を持って来て下さったスタッフには、「今日はあいつは来よらへんわ」とさんざん言い、施設長さんには「会場まであいつと一緒に歩いていくわ」と言っていたらしいすぎやん、相変わらず支離滅裂です。

大騒ぎのあげく、結局歩いて一緒に会場に向かいました。

施設から会場までは、のんびり歩いて10分弱。
この日の話題は、前日発生した「トラックのタイヤがはずれて観光バスに直撃、バスの運転手が亡くなった事故」です。
元大型トレーラー運転手のすぎやん、こんな事故が発生すること自体が信じられない様子で、とにかく熱く語ります。

「あんなん、整備不良に間違いないわ。わしが現役やった頃は、発車前に必ず整備してた。タイヤをトントンって叩いて、パンクしてへんかどうかとか、とにかく全部チェックしてから発車させたもんや。走ってる最中も、荷物に掛けたシートが外れてへんか、荷物に異常はないか、常にミラーを見てた。気を抜く間なんて、あらへん。周りの音も全部、どんな音でも聞いとった。走っとったら、タイヤの状態がどんななってるかは、音でわかる。あいつらは絶対そんなことしてへん。プロとちゃう」

会場は例年通り、施設の近所にある地元では有名な桜並木です。
先に到着した皆さんは、既に弁当を食べ始めていました。私たちは、ひとりで食事していた認知症のおばあちゃんの前に座りました。

「このおばあちゃん、誰やったっけ?」
「こいつが、茶碗叩くやつや」
「あぁ、この人が」

食事中、何かしてほしいことがあると、この方は茶碗を叩くのです。
この日も弁当の縁を叩いて、「食事終了」合図をスタッフに送っていました。

先週末が満開だったので、ソメイヨシノはだいぶ散っていました。それでも、たくさんの方がお花見を楽しんでおられました。

桜






風にのって花びらがはらはらと散る様子は、何だか風情があります。

あれは嫌い、こんなん食われへん、エビの殻むいてくれ、ビールを出してくれよらへん、などと数々の文句をたれながら、支給されたお弁当を食べているすぎやん。

花見弁当

しばらくしてスタッフがビールを出してくれると、350缶と500缶の2本をあっという間に飲んでしまいました。

宴会が終焉に近づいた頃、大事件発生。

「あ、パンクしてる!」

すぎやんの車椅子のタイヤが、物の見事にパンクしていたのです。
すぎやんもびっくりして、「えらいこっちゃ。パンクや!」と騒ぎ出しました。

スタッフは、「(施設の)車椅子、準備しますね」と走り出し、入所中の奥様と花見に参加されていた男性が、「こりゃあ、ひどいなぁ」と言いつつ近づいて来られました。
「メタボ腹や」と言いつつ、お腹をぽんぽん叩く、愉快なおっちゃんです。

「車椅子、買わなあかんかな? でも電動(車椅子)は、やめときや。電動は操作を間違えたら、えらいことになるからな」
「それより、この人に電動なんて与えたら、どこに行くかわからへんからあきませんわ」
「それもそうや」

2人で大笑い。

替わりの車椅子を待っていると、選挙運動中の市会議員候補の女性が登場。
翌日曜日が、市会議員補欠選挙の投票日なのです。立候補者は3人です。

「お願いしま〜す。明日、投票して下さいね」
「もう、あんたに入れたで」

既に施設での期日前投票を済ませたすぎやんがそう返すと、彼女はうれしそうな顔をして走ってきて、「ありがとうございます〜」と言いながらすぎやんの手を握ってます。
すぎやん、むっちゃうれしそう。写真、撮っとけばよかった。

彼女が行ってしまってから、聞いてみました。

「ほんまに入れたん?」
「おう、ほんまに入れた」
「女の人やから、入れたんとちゃうん?」
「・・・そうや」
「それに名前も、私と一緒やもんな。字まで一緒やし」
「そやな」

ちなみに彼女、無事当選しました。

運ばれてきた施設の車椅子で、歩いて戻りました。
途中でたこやきの屋台が出ているのを見て、すぎやんが「食べたい」と言うので、買って帰りました。

「わしはほんまに、粉もんが好きやな」と言いつつ、部屋でうれしそうに食べてました。
たこを吐き出しながら。

すぎやんは全ての歯を抜歯しているのに、入れ歯嫌いで使わないため、固い物がかめないのです。

車椅子は、タイヤ交換ができるようです。購入しなくてもよさそうなので、安心しました。
今回パンクしたのは片側だけでしたが、タイヤの摩耗が激しいので、もう片方のパンクも時間の問題です。
それで、両輪ともタイヤ交換ができないかを、業者さんに確認してもらうことにしました。




2008年4月20日のすぎやん

2008年4月20日のすぎやん


先週のお花見の際にパンクした、車椅子のタイヤ。無事修理が終わっていました。
両輪ともチューブ交換されていて、一瞬新品に見えました。

すぎやんが言うには、この日の前日に修理の方が来られたそうで、

「1人で、前の廊下で長いことかかってやっとった」

それまでは施設の車椅子をお借りしていたのですが、乗り慣れないせいもあって、とてもしんどかったようです。なので、超ご機嫌モード。

「気分爽快や」

すぎやんの部屋の前にその車椅子が置かれていたので動かしてみると、ものすごく重い。

「乗ってたん、あれやろ? 重たいなぁ」
「そうや、ものすごい重たいんや。動かすんがしんどい」
「これ(すぎやんの車椅子)、軽いもん。そら、しんどいわ」
「それにな、座るとこが高いんや」
「高かったら、しんどいん?」
「わし、足が短いから、地面に足が届かへん。乗りにくうて、怖かったわ」
「ぶははは!」

自分で「足が短い」と言い出したので、思わず大笑いしてしまった私。
確かにすぎやんは、もともと身長がそんなに高くはなく、なおかつ短足。

それはともかく、なぜ「地面に足が届かない」のがしんどいのか。

すぎやんは、左半身が麻痺しています。左手も左足も、自力では動かすことができません。
そのため、右手でタイヤを動かし、右足で地面を蹴ることで、車椅子を動かすのです。平坦な場所だけでなく、少々の段差ならこれで乗り越えます。
すぎやんにとっては、「ステップに足が置ければいい」という問題ではないのです。

「片手片足やぞ。やってみ。どんだけしんどいか」と言う本人の言葉通り、よくこれで1人で散歩に行くものだと、感心します。

直ってよかったと2人で喜び合ったのですが、車椅子のチューブが交換できるということ、今回初めて知りました。

その後は、テレビを見ながら無駄話をぐちゃぐちゃと交わしました。
思いついたことをとめどもなくしゃべるので、話についていくだけで精一杯。この日は言葉も聞き取りづらく、「もうちょっとゆっくりしゃべって」と何度も言わなければなりませんでした。

「あかんな。自分でも舌がもつれてるって、わかるんやけど」
「そんなにあわてんでも、もうちょっとゆっくりしゃべったら大丈夫。前に病院でリハビリした時、言われたやろ?」
「そやな」

テレビにお好み焼きが映ると、すぎやんは「食いたい」と何度も言います。
すぎやんは、お好み焼き等の「粉物」が、死ぬほど大好き。

食べるだけではなく、作るのも大好きで、元気な頃はよくお好み焼きや一銭洋食を作ってくれました。
どこかから厚みのある鉄板を調達してきて、いろいろな材料を放り込んで作っていましたが、本当においしかった。もっとも、「こんな鉄板、どっから拾うてきたんや! 邪魔になる!」と母に怒られてはいましたが。

「わしはほんまに、粉もんが好きや」
「朝は焼きそば、昼はお好み、おやつにたこ焼き、晩はお寿司やったら、最高?」
「おう、そんなんやったらもう、死んでもええ」

そんなんで死んだら、もったいないで。




2008年4月27日のすぎやん

2008年4月27日のすぎやん


部屋に入ると、すぎやんがものすごくうれしそうな声で、こう言いました。

「明日、装具が届くぞ」

現在使っている足の装具は、今から5年以上前に作ってもらいました。
そのため、特に右足装具の劣化が激しくなっていました。また、左足の腫れが全く引かず、装具が足に合わなくなってきていたので、先月市役所の障害福祉課へ行って、作り替えの手続きをしたのです。

「ほんまに? よかったなぁ。1ヶ月ほど前に市役所に手続きに行ったから、もうできる頃やもんな」
「そうや、職員も1ヶ月ほどかかるって言うとった」

週に1回の歩行リハビリでも、装具が合わないので、部屋の中での軽い歩行練習しかできない日々が続いていました。そのため、「歩けなくなる」という不安や欲求不満がたまりがちだったのです。

「歩いて家に帰るんや」

これはすぎやんの口癖なのですが、昔に比べると足の筋力の衰えは明らかです。リハビリの先生も、「現状維持のためのリハビリである」と言われています。
また、年齢と共に体力も徐々に落ちてきており、すぎやんが誰の助けも借りずにひとりでスムーズに歩ける状態には、もう戻れないでしょう。

足が腫れた状態で歩行リハビリを続けることが果たしてよいことなのか、悩むところです。
かつてバージャー病(ビュルガー病)にかかった経験のあるすぎやん、この足の腫れの原因のひとつが、血液の循環が悪くなっていることだろうということは想像がつきます。でも詳しくは、病院で精密検査を受診しないとわかりません。
でも、「病院に見てもらいに行く?」と聞いても、すぎやんは「血管造影がいや」と言い張ります。本人がいやだと言うのに、首に縄を付けて病院に引きずってはいけませんしね。

ただすぎやんにとって、歩行リハビリは生き甲斐のひとつ。張りのある生活のためには、新しい装具は欠かせないアイテムです。

ところで。

中高年以上の年代に一番知られている「大食い系タレント」は、ギャル曽根さんだと思います。
すぎやんも、彼女のことは顔も名前もしっかり覚えています。部屋のテレビに映る彼女を見て、「これがギャル曽根や」と私にレクチャーしてくれました。

「あいつはよう食いよる。大きな口あけて」

テレビを見ながらあれこれしゃべっていると、フットバスを持って女性スタッフNさんが登場。
すぎやんはNさんのこともお気に入りなので、「この人、誰やったかな。わし、顔知らんわ」と、ギャグを飛ばしてからかいますが、そんなすぎやんに慣れている彼女は、明るく上手にいなしています。

うまくすぎやんに合わせてくれるスタッフの対応が、すごくうれしい私。

夕方4時頃、日勤と夜勤のスタッフが交代します。そのため、この時間にスタッフを見ると、すぎやんは「今日、夜勤か?」と聞きます。絶対、必ず、聞きます。

「今日は、夜勤か?」
「はい」
「よろしくな。相棒は誰や」

夜勤スタッフは、2人です。すぎやんは、もう1人の夜勤スタッフは誰か、と聞いているのです。

「Oさんです」
「おのやんか。お前はいつも、あいつとコンビやな」
「そうですね」

すぎやんが「おのやん」と呼ぶOさんも、女性スタッフです。
若い女の子にまで「やん」と付けるすぎやん。まさに「大阪のガテン系」ですわ。




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