2007年12月2日のすぎやん

2007年12月2日のすぎやん


入所者さんの中には、認知症の方もおられます。ぼーっとしていたり、大声を出したりと症状は様々ですが、すぎやんが一番困っているのは、夜になると徘徊する女性がおられることです。
以前から「またいやな夜が来た」とぼやいていましたが、この日は本気モードで怒っていました。

「扉をばんばん叩きよる。びっくりするぞ。心臓がどきっとする。心臓、弱いのに」
「心臓弱い人が、なんでこんなに生きる。ほんまに弱かったら、少なくとも30年前に死んでるで」
「2日連続や。寝てへん」
「それにしては顔色ええなぁ」

笑わせ、おだて、なだめ、持ち上げ、いろいろな方法で落ち着かせるように試みます。

すぎやんが言うには、その方は部屋の扉をばんばん叩き、反応がないと扉をがたがたさせ、また違う所に行っては同じ事を繰り返す。そしてそのたび、夜勤スタッフが走ってくる。その繰り返しみたいです。

「『晩だけでも家族につかせ!』言うて、職員に怒ったった」
「そやけど、それがでけへんから預けたはるんやで」
「わしら、迷惑や。みんなそう言うとる」
「そやけど、その大声出すん、ちょっとは我慢せな」
「なんで我慢せなあかんのや。迷惑しとるん、わしやぞ」

おっしゃる通りなのですが、すぎやんの怒声も相当なものです・・・。

スタッフも、興奮気味のすぎやんにたびたび声を掛けて下さり、『すぎやん、我慢してな』って、なだめて下さっている様子です。

確かに、すぎやんの言うことは間違っていないし、もし自分がそんな目に遭ったらどれだけ腹が立つかわかりません。
自分はしっかりしていると信じているすぎやんのような人と、認知症の人が共存していくということの難しさを、しみじみ感じます。よその施設に行ったとしても、状況は似たり寄ったりでしょうし・・・。

でも、すぎやんのようにいちいち怒鳴っても、相手にはなかなか通じません。なので、私は繰り返し言い聞かせています。

「どんなに怒ってもわからはらへんのやから、注意しがいがないやろ? 『誰や!』って言うて怒るなとは私も言わへん。私かって、たぶん怒ると思う。そやけど、3回のうち1回は言うの我慢して無視するようにしたら? 他の部屋の人は、扉をばんばんする音にまずびっくりして、次にすぎやんの怒鳴り声にもう1回びっくりしたはるんやから」

スタッフの方をはじめ、主治医の先生なども様々な対応を試みておられるようですが、即効性のある妙案はなかなかありません。
すぎやんの怒りは、まだまだ続きそうです。




2007年12月9日のすぎやん

2007年12月9日のすぎやん


運営懇談会が開催されました。施設側と利用者及びその家族さんがいくつかのテーブルに分かれ、意見交換(テーブルミーティング)を行います。

この日、私といっしょのテーブルに付いたのは、施設開設当時からご一緒している利用者さんの家族さん3人と、施設長さんの計5人。
家族さん3人とも、普段からよく面会に来られていて、顔なじみです。また、普段から気の付いたことは、その都度スタッフや施設長さんにどんどん進言しておられるので、テーブルミーティングでも話は脱線するばかりです。

●週刊ダイヤモンドに、この施設のことが掲載されていた。

週刊ダイヤモンド

●今お世話になっている整形外科の不正請求が判明したことが原因で、来年からその整形外科の依頼で来て下さっていたリハビリの先生が、来られなくなる。
●制度改正の影響で、有料老人ホームの代わりに「高齢者専用住宅」というのが増える。この施設は、高齢者専用住宅への転換は考えていない。
●新人スタッフの顔を見たら、すぐやめるか、頑張って続けるかということが、すぐわかる。

そんなことを他の4人から次々と聞かされ、介護の現状について皆さん勉強されているんだなぁ、と感心してしまいました。
中でもなるほどなぁと思ったのは、「介護度が高いほど手間がかかるということで保険料は高いけれど、実務で本当に手間がかかるのは、要介護2〜3くらいの人だ」という意見でした。

この施設には要介護4や5の方もたくさんおられます。特に5の方などは、ほとんど寝たきりです。だから、定期的な作業以外にすることはないというのが理由です。
すぎやんは要介護2ですが、確かに手間がかかりますもんねぇ。

家族さんが、親や配偶者の現実に真摯に向き合っている様子を見て、自分もこうあらねばと思ったひとときでした。

部屋に戻ると、つねちゃんに替わって居室担当になったYさんが、足浴をして下さっていました。彼とは初対面なので、ぺこぺこと挨拶を交わしました。
一時は「つねちゃんショック」で落ち込んでいたすぎやんですが、Yさんにだいぶ慣れたようで、既に彼のことを「ちょんまげ」と呼んでいます。




2007年12月16日のすぎやん

2007年12月16日のすぎやん


施設主催のクリスマス会が開催されました。

10時くらいからケーキ作りをするということだったので、その時間に合わせて施設に行きました。
用意されたケーキのスポンジや果物やホイップを使ってデコレーションしましたが、初体験の私が作ったケーキはがたがたです。スタッフのつねちゃんと一緒に作業しましたが、彼女の手さばきは鮮やか。聞くと、製菓の専門学校出身とのことでした。

昼食はすきやきでした。認知症の方を見ないといけないと言って、リビングでの食事は嫌がっていましたが、「すきやき、肉」という呪文で部屋から引っ張り出しました。
肉が好きなすぎやんはごきげんで、昼間から発泡酒を飲めてさらにごきげん。
「(発泡酒)1本じゃ足らん」と何度も言ってました。

この日テーブルをご一緒したのは、お酒が好きなAさん(女性)とその娘さん。穏やかな方で、普段の食事(朝食だけだけど)のテーブルも同じだそうです。暴れん坊すぎやんのお相手もよくして下さっているみたいです。
彼女はビールや発泡酒はダメで、日本酒や養命酒を毎晩適量たしなんでいるとのことでした。

宴会も終わりに近づいた頃、食事を終えたBさん(女性)が通りかかりました。
Aさん、Bさん、そして別の家族さんで話がはずみ、すぎやんが訴える「部屋の扉をどんどんする人」が誰なのか、やっとはっきりわかりました。

「あー、あの方やったんですか。すごい穏やかな人でしたよね?」
「そやけど最近、具合がかなり悪くなってきたみたいやね」

さらによく聞いてみると、叩く扉はほぼ決まっているようです。
Bさんのお部屋は、エレベータに一番近い場所。すぎやんの部屋は、廊下の曲がり角でお風呂の横。位置的に叩かれる確率が非常に高いみたいです。
Aさんも「たまに叩かれる」とおっしゃっていました。Bさんは「寝られへんわ」とぼやいておられました。

食事を終えたすぎやんに、薬を飲むように言いました。でも、薬を飲むための水がありません。

「水道の水、くんでこようか」
「水道の水、飲むなって言われた」
「なんで?」
「汚いらしいぞ」
「そうなん? なんで汚いんやろ?」
「下水やからな」
「下水!」

みんなで大爆笑。




2007年12月23日のすぎやん

2007年12月23日のすぎやん


相変わらず、認知症の方たちの行動をぼやきまくるすぎやん。
暖かい間は散歩に出たりして気が紛れるのですが、冬はなかなかそれが叶いません。なんだかんだで、結構ストレスがたまっている様子です。

この日の前日の夜、部屋でつねちゃんとお酒を飲みながらおしゃべりしたようです。この計画は先週聞かされたのですが、その時からすぎやんはずいぶん楽しみにしていました。
私が部屋に入るなり、その報告を延々聞かされました。よほどうれしかったのでしょう。

「どれくらい話してたん?」
「えっと・・・5時半頃かな」
「5時半、っていうたら、ご飯の時間やん。そんな早うから?」
「いや、飯の後、かな? 6時くらいから、か」
「ほんでどのくらい、いてくれはったん?」
「長いこと、おったぞ。8時か9時くらい」
「で、そんな長いこと、何しゃべってるん?」
「ま、いろいろや」
「いろいろって、何? 何かひとつくらい、聞かしてえや」
「いろいろやんけ」
「・・・もしかして、何しゃべったか、忘れた?」
「忘れてへんわい」
「忘れたんやろ、正直に言いや」
「へっへっへ」

しゃべり終わった瞬間に忘れたのでしょう。それでも、楽しい思いだけは忘れていないのだから、うれしいことです。




2007年12月29日のすぎやん

2007年12月29日のすぎやん


毎週日曜日がシーツ交換日なので、新しいベッドシーツと掛け布団カバーを持って行きました。
リネン類のことなど関心のないすぎやん、いつも新品を持って行くと喜ぶのに、反応は今ひとつでした。4年半以上使っているので、生地は薄くなり小さい穴も開いていたのだが、気付いていなかったみたいです。

ところで、すぎやんは「明日は大晦日や」と何度もおっしゃいます。大晦日は明後日なので、私め、何度も否定申し上げました。

「明日は大晦日の前日。大晦日イブや」

この私の声が、近くにおられたスタッフの耳に入ったようで、帰り際「確かに、イブですね」と笑っておられました。




2007年12月30日のすぎやん

2007年12月30日のすぎやん


この日は少し言葉が聞き取りにくく、何度も聞き返すことが多かったです。

すぎやんは、歩行リハビリをして下さるたこ先生が大好きでした。たこ先生もすぎやんのことを「親父」と呼んで下さっていたようです。
ですが、彼によるリハビリはこの日で最後になりました。(理由はこちら)

泣き虫すぎやん、かなり別れを惜しんでいた様子です。

「泣いたんやろ?」
「ちょっと泣いた」

きっと大泣きしたはずです。

くだらないことでこんなことになってしまい、私も非常に残念です。
施設長さんも、「後任を探している最中で、すぎやんと気の合うような方を見つけます」とおっしゃって下さっていますが・・・。

年内訪問は、今回が最後です。
カレンダーを交換したりして、年越しムードを軽く演出します。
テレビの上には、ネズミの形をした石けんを置きました。毎年、干支の石けんを飾っているのです。

ネズミの形をした石けん


「もう正月やな」とか言いつつ、私のすることを見ていたすぎやん、こんなことを言い出しました。

「それ、キツネか?」
「キツネとちゃう! 毎年干支の石けん持ってきて、飾ってるやん。覚えてへん?」
「・・・おう、そうか。それ、犬か?」
「もしもし、今年何年か覚えてる?」
「・・・戌」
「今年は、自分の当たり年やったやろ?」
「イノシシか!」
「そやから来年は?」
「ネズミ、やな」

でもしばらく、石けんを見ては「キツネや」と言ってました。




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