2007年3月4日のすぎやん

2007年3月4日のすぎやん


すっかり元気を取り戻したすぎやん。声にも張りが出てきました。
私が部屋に入ると、すぎやんはテレビの漫才番組を見ていました。画面にはチュートリアルが映っています。
彼らが出番を終えて引っ込み、次に登場してきたのはフットボールアワー。

ちゃんとテレビを見ているのに、演者が変わったのを見ているのに、すぎやんはずっと「チュートリアル」と言っています。

「この人ら、チュートリアルとちゃうで。さっき変わったで」
「・・おう、そやな、ちゃうな」
「このふたりのコンビ名、わかる?」
「・・・えーっと、岩尾と・・・」
「よう覚えてるなぁ。コンビ名は? 最初にふの字がつくで」

そう言いながら、すぎやんのガソリンである発泡酒を食堂のスタッフに手渡して部屋に戻ると

「フットボールアワーや!」
「正解!」

拍手する私を見たすぎやん、こう切り出しました。

「退院してから、頭の回転がようなったな」
「・・・いや、そんなに変わらんと思う・・・。でも、元気になってよかった」
「職員もみんな、『すぎやん、元気になった』って言うてくれよる」

すぎやんお気に入りのリハビリ担当の先生も、すぎやんが元気になったことをとても喜んでくれていると報告してくれました。




2007年3月11日のすぎやん

2007年3月11日のすぎやん


すぎやんは、普段は部屋のドアをロックしていません。ですから、私はいつもノックをしながらドアを開けて部屋に入ります。でもこの日はドアが開きません。ノックをしながら「開けて〜」と声を掛けました。
私だとわかってドアを開けてくれたすぎやん、機関銃のような口調で愚痴り始めました。

何でもこの日、ノックも何もなしで、勝手にドアを開けてよその部屋の入所者さん(認知症の女性)が入ってこられたので、ロックしていたとのことでした。

「びっくりすんぞ。油断しとったら、ぬーっと入ってきよる。それもわしの部屋ばっかりや。あいつら、ぼけてるいうけど、絶対わかっとんぞ」
「そうやないで。隣が風呂やろ。トイレもあるし、この部屋、角部屋やし。入りやすいんや。そやからきっと、間違えるんやで。この部屋がすぎやんの部屋や、なんて、絶対意識したはらへんで」

本心は、ドアにロックなどしたくないすぎやん。
ぶいぶいぶいぶいと怒りまくっています。

「認知症っていうのは、一種の病気やねん。誰もわざと部屋に入ってきたはるわけとちゃうんやから。だから、ドアに鍵かけとき。それやったら、入ってきはらへんやろ」
「そやけど、わしかて、たまには寝ころびたい時もあるやんけ。その時鍵をかけとって、職員がきよったら、困る」
「だから、前もって言うといたらええやん。寝ころぶから鍵があけられへん、って。それに、事務所に部屋の鍵があるんやから、ほんまに何かあったら、それ使ってあけはるから。鍵かけといたら、入ってきはることはないんやから、いらいらせんでもええやん」

すぎやんの興奮がある程度治まるまで、10分以上はかかりました。

その後、きちんと巻かれた包帯が目に入りました。スタッフが巻いてくれているのだと思いこんでいたのだが、

「これ、わしが巻いた」
「え、ほんまに?」
「片手やから大変やぞ。この施設でこんなことできるん、わしだけや。職員もほめとった」
「・・・自慢するなぁ。でも見せて」

ひとりで包帯を巻くすぎやん1

ひとりで包帯を巻くすぎやん2

ひとりで包帯を巻くすぎやん3

ひとりで包帯を巻くすぎやん4

完成品

足の間に包帯を挟み、きつくかっちり巻いていきます。私としゃべりながらでも、5分もかかりません。できあがった時、思わず拍手。匠の技です。
絶賛すると、すぎやんはちょっと鼻の穴をふくらませていました。




2007年3月18日のすぎやん

2007年3月18日のすぎやん


テレビの番組欄を見ると、ちょうど私が施設に行く時間帯に、別チャンネルで漫才番組と銀ちゃん(ナニワの帝王)が放映予定。
どちらを見ているだろう、たぶん銀ちゃんだろうなと予想しながら部屋に入ったら、ずばりでした。

すぎやんは、本当に銀ちゃんが大好きです。「あいつは賢い」とほめたたえています。
詳しいストーリーは把握していませんが、金を借りた人と取り立て屋とのやりとりがツボのようで、大笑いしています。

ただこの日は、何か落ち着きがないように感じます。声には張りがあるので元気そうなのですが、しきりに「寒い」と言います。暖房はがんがんにきいているのにです。
そのうち、鼻までかみだしました。

「風邪?」
「そうかもしれんな」

寒気がして、頭も痛いと言います。

「往診に来てもらうように頼んどこか?」
「大丈夫や、ええ」

それでも心配なので、とりあえず様子を伝えておこうとスタッフを探すと、先日入院した時に付き添って下さったWさんを発見。
すぐに部屋まで来て下さって、熱と血圧を測って下さいました。上の血圧が154で、やや高め。熱はありません。

「血圧が高いせいか、風邪のせいかがわからないので、しばらく様子を見ますね。なかなか『しんどい』っておっしゃらないんで、また何かあったら知らせて下さい」とおっしゃってました。

実はすぎやんに内緒で、スタッフに車での送り迎えをお願いし、明後日に里帰りを計画しているのです。引っ越しまであと約10日と迫り、「最後に家を見ておきたい」というすぎやんの願いをかなえようと考えまして。

体調、大丈夫かな。




2007年3月20日のすぎやん

2007年3月20日のすぎやん


すぎやん、里帰り当日。送り迎え担当者は、施設長のOさん。
先日体調があまりよくなかったようなので、昼前に電話してみました。

「今日、すみませんがよろしくお願いします。で、体調の方はどうですかね?」
「あぁ、お元気ですよ。今日もスーパーに買い物にひとりで行かれました。カップヌードルとか買ってられました」
「・・・カップヌードルですか・・・。いや、この間の日曜日、体調悪そうだったからどうかなって思っていたんですけど」
「大丈夫みたいですよ。一緒に(家に)行きましょうってお声をかけたら、ますますお元気になられて」
「そうですか(苦笑)」

夕方5時頃、Oさんの運転する施設の車で、すぎやんが戻ってきました。
ただ、到着直前に道がわからなくなってしまったとのことで、迷われたようです。
すぎやんってば、道案内をすればいいものを、道に迷ったことをOさんのせいにしてます。

「頼りない運転手や。けったいな道ばっかり走りよるから、わからんようになった」

最初は、「外から見るだけでええわ」と遠慮していたすぎやんでしたが、1階の廊下まで上がってもらい、しばらく話をしました。きょろきょろとあたりを見回し、「2階まで上がりたかった。それが心残りや」と何度も言っていました。

「わしがこんな体になったから悪いんや」
「もうこの家も最後やな。しゃあないな。あきらめるわ」

階段には手すりもないし、スタッフに介助してもらっても、上の階へ上がってもらうことは困難です。
でも、こういう言葉を聞くと、つらいです。

滞在時間は約10分。すぎやんにとって、この訪問がよかったのか悪かったのか。
それでも、ほんの少しだけですがすぎやんの願いをかなえられたので、私の気持ちは落ち着きました。




2007年3月25日のすぎやん

2007年3月25日のすぎやん


先日からの体調不良が続いているようで、寒気がする、頭がちょっと痛いと言っています。上着をもう一枚着てもらったら、温かくなったようで、

「ちょっとましにましになったわ」

ところで、すぎやんが暮らしているのは、老人ホームです。病院ではありません。ですから、スタッフが薬を調合することはできません。
でもすぎやんは、そんなことはおかまいなし。「薬、くれ!」と叫んでいるらしいのです。ひとつ間違えば、危ない中毒患者のようなセリフ。

「ここはあかん。ちっとも薬をくれよらへん」
「そんなこと言うたって、ここは病院とちゃうし。風邪ひいてしんどいとか、ちゃんと言わへんと、先生に連絡してくれはらへんで。先生が薬、出すんやから。『薬!』って言うても、出てけーへんで」
「・・・職員もそう言いよる」

薬、薬と叫ぶくせに、ぎりぎりまで体調不良を訴えないすぎやん。
ほんとに、困った人です。

私がマンションへ引っ越すまで、あと4日です。

「家、まだあるんか」
「だから、引っ越し日、覚えてるんやろ?」
「そうや、29日やな。その日に出るんやな。もう最後やな。しゃあないな・・」

何度同じことを繰り返したことやら。
やっぱりまだ寂しそうです。だけど、頭の切り替えは早い。

「いつ、マンションへ連れてってくれんねん?」
「だから、私の引っ越しがすんで、荷物片付いて、他の人が一斉に入ってきはるから、それが落ち着いて、マンションまでの安全な道のりを覚えてからやって」
「3月か?」
「無理! 絶対3月は無理! 4月も前半は、無理やな」
「連れてってくれよ」
「何も、いややって言うてへんやん。もうちょっと、待ってて」

このやりとりも、何度繰り返したことやら。

ちなみに、「何階建てのマンションで、何階に住むか」ということも、10数回は伝えてますが、未だに覚えていただけてません。




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