2006年10月1日のすぎやん

2006年10月1日のすぎやん


衣替えの季節です。
すぎやんは人に頼るのが嫌いなので、なるべく何でも1人でするようにしています。だけど服の着脱は左手が麻痺しているので、1人では大変です。なので、すぎやんの服を選ぶ時には、前開きでスナップで止められるようなものを選ぶようにしています。
でも、こういう服って、スーパーにはまずないんですよね・・・。運良くあったとしても、デザインが限られている。

「違う服がほしい」と訴えるすぎやんに、「かぶりやったらいろいろあるんやけどな・・・」と言うと、「それでもええ。あかんかったら、職員に着せてもらうわ」とのことなので、この日は長袖のポロシャツを持って行きました。喜んでました。

施設近くで道路の拡幅工事がずっと行われていたのですが、先日その道路の通行止め状態が解除されました。
早速オープンしたての真新しい道路をうろついたすぎやん、安全な散歩ルートが増えたことを、私に報告してくれました。

その道路沿いにある不動産屋さんのおじさんは、すぎやんを見るといつも声を掛けてくれ、仕事の手が空いている時には話し相手にもなって下さっているようです。
それに、他にも挨拶したり声を掛けてくれる人もおられます。また、ジュースやバナナを差し入れして下さったりする方もおられ、すぎやんの外交活動は相変わらず活発です。

ただ、すぎやんは食べ物だけではなく、人の好き嫌いも非常に激しいです。最近特にお気に召さないのは、「突き当たりの駐輪場のおっさん」とのこと。

「えらそうに言いやがったから、あいつとは絶対しゃべらへん」。

「近所のマンション管理人がにらんだ」とか言っているので、他にも「仮想敵国」があるようです。本当にすぎやんって、難しい人です。




2006年10月8日のすぎやん

2006年10月8日のすぎやん


すぎやんには、テレビ用の長いイヤホンと、ラジオ用の短いイヤホンの2種類を使ってもらっています。
これは前からのことなのですが、イヤホンにたくさんの結び目ができるのです。気付いた時にほどいているのですが、しばらくするとまたできている。いったいどんな使い方をしているのか、さっぱりわかりません。

部屋に入ると、すぎやんはラジオ用のイヤホンにできた数個の結び目を、一生懸命はずしていました。2個までは自力でほどいたらしいのですが、なかなか作業がはかどらずに

「いらいらしとったとこや」。

で、ほどき係をバトンタッチし、ほどきながら質問してみました。

「なんでこんな結び目ができるん?」
「わしにもわからへん」
「どんな聞き方してるん?」
「わからへん」

わからへんことだらけです。

帰りに、出口で施設長さんとばったり会いました。

「どうですか、父のごきげんはぼちぼちですか」
「ぼちぼちですねぇ。ただ・・・」

すぎやんの部屋の横は浴室なのですが、施設長さんがおっしゃるには、他の利用者さんが利用され、スタッフの介助の声が聞こえると、「そんなやつ、ほっとけ!」とかなんとか言って怒鳴っているらしいのです。

認知症の利用者さんの中には、お風呂が嫌いな方もおられます。そういう方は全力で抵抗されるらしく、時には大声も出されるようです。その声がうるさいということもあるようですが、自分もかまってほしいという「嫉妬心」で怒鳴っておられる場合もある、と施設長さんはおっしゃっていました。

子供のようなすぎやんの行動に、何となくせつなくなったひとときでした。




2006年10月15日のすぎやん

2006年10月15日のすぎやん


すぎやんは、クモ膜下出血の後遺症で左半身が麻痺しています。その影響と血流の関係もあって、左足先がよく腫れます。
でもこの日の腫れ方はひどく、歩行リハビリも中断している様子です。腫れがひどすぎて、装具に足が入らないのです。
何か他に原因があるのかもしれません。

腫れた左足

すぎやんが繰り出す話題は、あっちこっちへ飛んで脈絡がありません。でも最近は「さびしい」という言葉を、よく使うようになりました。
負けず嫌いで意地っ張りな人なのですが、心を許した人に対しては、素直に自分の心情を吐露します。こういうこと、若くて元気な頃には絶対なかったことです。

この日繰り出した話題のひとつに、「砂利の音がうるさい」というものがありました。
施設の裏にマンションがあるのですが、そのマンションの周りに砂利が敷いてあるのです。そこを人が歩くとうるさい音がすると言うのです。
とにかく神経質な人なのですが、ちょっとこの日はぴりぴりしすぎのような気がしました。足は腫れるわ、リハビリができないわで、余計にイライラが募っているのでしょう。

「なんで砂利が敷いてあるか、わかる?」
「知らんわい(怒)」
「いろいろ理由はあるけど、ひとつは防犯のためなんやで。歩いたら音がするから、泥棒とかうろうろしたらわかるやろ」
「へぇ、そうなんか。防犯か、確かにそうやな」

ちょっとお怒りが収まったようです。

「そこ、いろんなやつが歩いとるわ。最近は、腹の大きいおばはんも、よう歩いとる」
「太ったおばちゃん?」
「ちゃう。あれは、子がおる。最近よう見るな。旬やな」
「旬!」

何が「旬」なのか、さっぱりわかりません。




2006年10月22日のすぎやん

2006年10月22日のすぎやん


「足から、ウミが出た」

この日のすぎやん第一声がこれでした。

先週の足のひどい腫れは、傷口からバイ菌が入ったことが原因だったようです。腫れていた足から看護婦さんがウミを絞り出してくれたとのことで、それ以降腫れが急速に引いたと喜んでいました。

「足、切らなあかんかと思うた」

とにかく、週に1度の歩行リハビリには張り切って挑むすぎやん。足が腫れていても、多少体調が良くなくても、「どうもない(何ともない)」と先生に言い張って、チャレンジします。
リハビリだけでなく、一事が万事、この繰り返しです。何でも限界まで我慢するので、こんなことになってしまうのです。困ったもんです。

どっちにしても、足の装具の作り替えが必要になってきています。サイズが合わなくなってきていますし、劣化も目立ちます。
装具を作るためには、医師が作成する書類が必要です。

「谷先生が、書類作ってやるって言うとった」
「なぁ、ほんまにそれを言うたん、谷先生?」
「おう」
「整形の先生が言うたんとちゃうん?」
「・・・そうやったかな」
「谷先生は、内科しか見はらへんで」
「・・そ、そうや。あの若い先生や」
「若い先生なん?」
「若い・・・中年かな」
「どっちやねん」

すぎやんの記憶の棚には、話題がひとつしか入りません。
すぎやんは、内科・整形外科の先生の往診を月に2回、訪問リハビリを週2回受けています。そのうち、週の初めに来られる整形外科の先生の話は、すぎやんの口から聞いたことがありません。
私は日曜日に訪問するので、1週間前のことなんて、すぎやんにとっては過去のこと。すぎやんの記憶の棚にあるのは、土曜か日曜に来られるリハビリの先生のことだけなのです。

そんなわけで、いつ誰が話したことなのかが、なかなかつかめません。また、多少話を作ったりするので、話の信憑性も定かではありません。
なので、スタッフの方と話のすり合わせが必要になります。苦労します。はい。




2006年10月29日のすぎやん

2006年10月29日のすぎやん


すぎやんは、普段から「外から誰か、窓破って入ってきよらへんか」とか、「火の元は大丈夫か」とか、戸建ての家に住む私のことを結構気遣ってくれています。
私自身も、いつかは3階建ての戸建てにひとりで暮らし続けることができなくなる、ということを感じていました。

それで、いいマンションはないかと、気軽にきょろきょろ見渡していたのですが、様々な偶然や幸運が重なり、すぎやんが暮らす施設から徒歩15分くらいの場所に、手頃なマンションを見付け、思い切って購入することにしました。

契約を済ませ手付金は支払いましたが、私のように会社勤めをしていない場合、住宅ローンはまず組めません。
ですから、手持ちの不動産を売却し、それを購入資金に充てる、いわゆる買い換えとなります。当然、家が売れなければマンション購入契約は白紙に戻るという契約条項があります。

土地はすぎやん、建物は私と、名義を分けているので、土地・建物両方を売却する場合は、すぎやんと私の2人が不動産屋さんとの契約に立ち会わなければなりません。でも、実際に動くのは私だけなので、私に一切を委任するという、すぎやんのサイン入り委任状が必要です。
で、この日、不動産屋さんから預かった数枚の委任状を携え、すぎやんの元に向かいました。

ちょっと前から、家を今後どうしていけば一番いいのかと考えている、という意味合いのことを、すぎやんに軽くジャブを打ってはいました。
それでも、「マンション買った、家を売る」なんてことを突然言ったら、興奮するに決まっています。何しろもともとは、すぎやんと私の母が購入したものですから。

それで、マンションを既に購入したということと、土地建物を正式に売却することにしたということは内緒にし、どれくらいで家が売れるのか査定してもらうことにした、ということにして、話を進めることにしました。
何しろまだ、家が売れるかどうかはわからないのですから。

書類を見せて説明すると、ちょっとびびった様子のすぎやん。

「家、売るんか?」
「いや、そんな今すぐのことちゃう。売るとか売らんとか別にして、いったいあの家がいくらくらいになるのか、査定してもらおうと思うんや」
「なるべく売ってくれるなよ」
「そんなん、売れるかどうかなんてわからへんやん。それで、あの家はあんたのもんやから、とりあえず『査定』やけど、すぎやんが知らんうちにやってることと違う、すぎやんの代わりに私が立ち会います、っていう書類を、不動産屋さんに出さんとあかんねん。最近、悪いやつが増えたから、いろいろうるさいねん」
「お前はそんな無茶はせえへん。お前にまかせる」

すぎやんはそう言って、すんなりと委任状に名前を書いてくれました。

本当は、すぎやんが最期を迎えた時、今の家に連れ帰り、供養も今の家でしたいと思っていました。でも、すぎやんはとにかく元気です。きっと長生きするでしょう。
それならば、すぎやんの死や死後のことを考えるより、これからもすぎやんと私はずっと生きていくことを前提に、前向きに考えた方がいいと思ったのです。

生きることを、生きている人を優先すべきだと思ったのです。

「おかん(私の亡き母のこと)、家売る言うたら、寂しがるやろなぁ」
「そうかもしれんな。でもあの家は、あんたとおかあちゃんと私の、3人の家なんや。おかあちゃんは確かに家や土地にこだわるやろうけど、私らのためになるんやったら、許してくれるんとちゃうかなぁ。そやから、今後、私らがそれぞれ塩梅よう生活していけるように、私がきちんとするから。ええかげんなことはせえへん」

私がそう言うと、すぎやんは「おおきに」と言ってくれました。

すぎやんが私の言葉を、どこまで記憶に残してくれるかはわかりません。
それでも「お前にまかせるわ」と言ってくれたすぎやんの気持ちに泥を塗らないよう、きちんとしていかなければと思いつつ、施設を後にしました。




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