2006年5月7日のすぎやん

2006年5月7日のすぎやん


すぎやんには毎週、お小遣いを渡しています。ミニゴーフルが入っていた小さい缶に、毎週1,000円くらい入っているように補充しておきます。それも、小銭で。

これまでもさんざん書きましたが、すぎやんの辞書には「貯蓄する」という言葉はありません。持ったら持っただけ、全て一度に使います。それはもう若い頃からのようです。
聞くところによると、すぎやんの母上(つまり私の祖母)は、あまり子供好きではなく、言われるままにお金だけ与えてほったらかしという子育てをしていたようです。すぎやんが異常に寂しがり屋なのも、金銭感覚が欠落しているのも、たぶんにこの影響だと思います。

すぎやんの実の両親も義理の両親(私の母方の祖父母)も、既に亡くなってだいぶ経ちますが、すぎやんは、実の母親より義母(私の母方の祖母)を今でも慕っています。「あのお母さんはええ人やった」と時々言いますが、実の母親のことについては全く口にしません。たまに思い出しても、「わしはあいつ、嫌いやった」と言い切ります。

それはともかく、小遣いは毎週ほぼ使い切っています。あまりの使いっぷりのよさに「いったい、何を買うてんの?」と聞いたことがあるのですが、それ以来時々スーパーのレシートを保管するようになりました。
ま、あくまで覚えている時だけで、置き場所も毎回違いますけど。

この日もお小遣いを補充しようと引き出しを開けると、先週の月曜日の買い物のレシートが入っていました。刺身とかハイソフトとかおにぎりが定番なのですが、このレシートには「サッポロドラフトワン」の明細が! それに、チューハイも購入していたようでした。
基本的に「ビールは日に1本だけ」という約束なのに。

「なんで、ビールを買うたん!」
「・・・ついふらふらっと、手に取ってしもうた」
「(私が持ち込む発泡酒を)日に1本だけっていう約束やのに、なんでその約束を破るんよ。こんなことするんやったら、もう発泡酒は持ってけーへんで」
「・・・隠し立てせえへんし、正直やろ」

訳のわからない言い訳をしていたすぎやんを、きゃんきゃん怒る私。げんなりしますが、勢いよく言い聞かせておかないとまた同じ事をしでかします。
とりあえず「もう買わへん」という言葉をすぎやんから引き出した後、冷静な声で聞いてみました。

「それにしても、なんでこんなレシートを置いとくん?」
「え?」
「だって、こんなレシートを置いといたら、私が怒るん、わかるやろ? スタッフの誰からも聞いてなかったし、これがなかったらばれへんかったやん。こんなに娘にきゃんきゃん怒られんでもすんだのに。なんで置いとくん? あほやなぁ」

私の指摘で、すぎやんは自分のドジさ加減がようやくわかった様子です。

「わしはほんまに、要領が悪いわ」
「要領の問題とちゃうやん。あほやがな。こんなこと、小学生でもわかるで」

親子の立場、完全に逆転です。やれやれ。




2006年5月14日のすぎやん

2006年5月14日のすぎやん


すぎやんは、ラジオが手放せません。あっちこっちスイッチをいじりたおして結局聴けないということがないよう、単純明快な作りのポータブルラジオを使ってもらっています。
これはもう病院に入院している頃からずっとそうなのですが、消灯後にラジオをイヤホンで聴くのが楽しみなのです。今は少し遅くまで起きてテレビを見ることができるようになりましたが、それでも睡眠誘発剤として活用しているようです。夜だけでなく、昼間でもすぎやんがお気に召すようなテレビ番組がない時などは、やはりラジオ。
イヤホン端子が接触不良になり、数回買い換えました。イヤホン自体も引っ張ったり踏んづけたりするので、よく壊れます。それほどのハードユーザーです。

すぎやんの部屋の前まで行くと、いつもは自室の扉をぴっちりと閉めているのに、この日は珍しく完全開放状態。
すぎやん曰く、「しょんべんのにおいがして、部屋が臭いって言われたらいややから、空気の入れ換えしてるんや」。

少し話はそれますが、病院の大部屋ではいろいろあるんです。
以前、すぎやんが入院していたとある病院でのこと。同室に元気な(!)じいさんがいました。その隣のベッドには、寝たきりの男性。自力では用が足せないので、オムツを当てていました。当然オムツ交換の時には、部屋中に便のにおいがします。でもそれは、仕方のないことです。なにげに窓を開ければすむことです。
だけどそのじいさんは、「消毒や」とか言いながら、必ずオムツ交換後に消臭スプレーを部屋中にまいて歩くのです。寝たきりの男性には、きつい仕打ちです。「好きでこんな風になったんじゃない」と、その男性は泣いて看護婦さんに訴えていたと、すぎやんは言っていました。

閑話休題。

ま、空気の入れ換えは結構なのですが、すぎやんってば、ラジオをかなり大きめの音量でならしています。いつもテレビの音や、入居者さんの声に対して「うるさい、静かにせい」と怒鳴っているくせに。

「いつも他人に『テレビの音がうるさい』ってやいやい言うてるくせに、自分は何をしてるんやな」
「これくらい、かまへん」
「かまへんことないで。結構音が大きいで」
「夜はちゃんと、イヤホンを付けてる。あいつらみたいに、訳もわからんと大きくせえへん」

おいおいおいおい。

とりあえず、「すぎやんの今の行為は、明らかに矛盾している」という説明を行い、すぎやんにご納得いただくまでに数分要しました。疲れるわ。




2006年5月21日のすぎやん

2006年5月21日のすぎやん


5月だというのに梅雨のような天気が続いていたのですが、この日は久々にいい天気になりました。暖かかったので、絶対に外にいるだろうと思いながら向かったのですが、部屋に閉じこもっていました。

「今日はいっぺんも外に出てへん。(談話室にいる)うるさい(認知症の)おばはんの顔が見たくない」とかいろいろいいわけをしておりましたが、結局は「何となくしんどい」というのが原因だったようです。外に出ると自力で車いすを動かさないといけないので、それもうっとうしかったのだと思います。
「腕が痛い」と何度も言い、おしゃべりの勢いが少し弱めです。それにあまり、突飛なことも言いません。ちょっと物足りなさを感じる私でした。

それでもなんだかんだと、途切れることなく2人でしゃべっています(喧嘩・言い争いも含む)。話がかみ合わないこともありますし、何を言っているのかわからないこともありますが、私の施設滞在時間はいつも1時間前後。長いときは2時間近くになることもあります。母と娘ならいざ知らず、父と娘がこれだけしゃべりまくっているのは、結構珍しいようです。
私としては、「週に1度のことなのだから」という気持ちもあるのですが、すぎやんが元気な頃には、こんなにしゃべったことはなかったです。考えてみれば不思議です。

「『ねえちゃん(私のこと)といつも長いことしゃべってるな。仲がええな』って職員に言われるわ」
「仲がええ、っていうわけとちゃうねんけどなぁ」
「職員には『娘がわしに合わしてくれとんねや』って言うてる」
「えーーーーっ! そんなこと言うなんて、さえてるやん」

すぎやんはへらへらと笑っていますが、すぎやんの口からこんなセリフが出てきたのは、初めてです。心底びっくりしました。




2006年5月28日のすぎやん

2006年5月28日のすぎやん


「午前中は外におったけど、風が吹いてきて寒うなってきたから、中に入った」
私の顔を見るなりこう言ったすぎやんは、吉本の芸人さんが出演する番組を見ていました。

他の地域ではどうなのかわかりませんが、こちら関西では、吉本の芸人さんが出演する運動会、旅行、カラオケ大会、グルメ等、いわゆる「あ〜、なんか制作費安上がり!」って感じの「お手軽すき間埋め番組」が、土日のお昼とかによく放送されます。
ちょっと前に放送されていたこの手の料理番組は、撮影場所はその日の出演芸人さん―関西での露出度と知名度は非常に高い、地産地消芸人さんたち―の自宅。そこで料理作って、試食して、わ〜って騒いで次の家に行く。
「お宅拝見」も兼ねているので、一石二鳥。現地集合・現地解散、スタジオのレンタル料も不要。すんげえ安上がりです。でもなんかおもしろいから、見ちゃうんですよね。

この日放送されていたのは、小籔千豊くんが中心となってイタリアを訪問、おいしい料理をたくさん食べる、というグルメ番組。
珍しくお金かけてるやん、と思っていたら、旅行会社とのタイアップ企画。
どこまでいっても、安上がりです。
http://www.ytv.co.jp/ita_goulmet/index_set.html

ところですぎやんは、この小籔千豊くんがお気に入りです。今日も私に報告してくれます。
「小籔はおもろい顔してる。こいつ、新喜劇の座長になったんやぞ」

よくわかりましたので、わずか数分の間に3回も繰り返さないでください。
それと、アジアンのことを「あいつらは、顔がおもろい」と何度も繰り返さないでください。人のことを言える顔ではありません。

画面には、イタリアらしいパスタ料理が次々と映し出されます。

「わしはこんなん、嫌いや」
「そやけど、おいしいで」
「ここのスタッフも、ピザとかこんな洋食(!)が好きや」
「おいしいもん。若い子はみんな好きやで」
「日本人は、和食じゃ」
「・・・何をえらそうに。好き嫌いがようけあって、和食でも残すくせに」

ロケ場所は、映画「ローマの休日」の舞台になったスペイン広場に変わり、オードリー・ヘップバーンがジェラートを食べるシーンが映し出されます。
オードリーはもうだいぶ前に亡くなった、という私の情報にびっくりするすぎやん。そこから、映画の話になりました。

「わしが一番印象に残ってるんは、『シェーン』や」
「ふーん、どんな映画やのん?」

シェーンがある西部の町にやってくる。その町の人にも「シェーン」と呼ばれ親しまれる。その町にやってきたならず者をやっつける。だけどシェーンは旅ガラス。最後にその町を去っていくのだが、シェーンを慕っていた子供が「シェーン!」と呼びかける。
すぎやんは、こう説明してくれました。私自身、この映画を見ていないので、真偽は定かではありません。

「その時に流れるメロディーがええんや」
「どんなメロディ?」
「♪」

鼻歌で歌ってくれましたが、メロディーがよくわかりませんでした。

そうこうしているうちに、出演者がワインを飲んでいるシーンに変わっています。

「ここ(施設)でもなんべんか飲んだけど、ワインは合わんな」
「ワインでもビールでも酒でも、アルコールさえ含んどったら、何でもええんとちゃうん」
「ビールは、酒とちゃう」
「アルコールが入っとったら、酒や!」
「わしは、日本酒はうるさいぞ。ふたして飲まされても、何の酒かわかる」
「うそや〜。利き酒なんてでけへんわ、絶対」
「・・・1級か2級かくらいは、わかる」

かつて水代わりに酒を飲み、アル中にまでなったすぎやん。味など絶対に、わからないと思います。




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