2004年9月5日のすぎやん

2004年9月5日のすぎやん


従姉のM子さん夫妻が顔を出してくれました。M子さんは私より一回り以上年上の、ぱきぱきした性格のばりばりの大阪人です。
すぎやんは、2人姉弟です。数年前に鬼籍に入られたお姉さんには3人の子供がいて、M子さんというのは2番目です。来月、息子さん夫婦に赤ちゃん誕生予定。初孫です。彼女もいよいよ、おばあちゃんです。

すぎやんは独身時代、お姉さん夫婦の家に居候していたようです。M子さんが生まれたときもまだ家にいたので、彼女をお風呂に入れたりとかしていたようです。だから彼女は、今でもすぎやんのことを「にいちゃん」と呼んで、慕ってくれているのです。
また、若い頃のごんたくれすぎやん・飲んだくれすぎやんをよく知っている、数少ない生き証人の1人でもあるのです。

彼女が来ると、話は自然と昔話になってしまいます。
すぎやんは、5分前の話は忘れますが、数十年前(もちろん私が生まれる前)のことは異常によく覚えています。驚異的な記憶力です。そして必ず、「こいつを風呂に入れたった。体の隅から隅まで洗ったったんや。わしはこいつの体を、全部知ってるんや」と、ぬかします。それもでかい声で。
私よりもすぎやんの扱いに慣れているM子さん、適当にいなしてくれてます。

すぎやんはトラックの運転手をしていたのですが、私がまだ赤ちゃんの頃に、すぎやんの同僚のFさんがトラックの中で首つり自殺をしたことがあったそうです。そのFさんの妹さんと同じ職場にいたのが、M子さん。だから、その当時のこともしょっちゅう話題になります。

Fさんが自殺する前の晩、すぎやんは彼に誘われて仕事帰りに立ち飲み屋に行き、パチンコをして、彼の住まいの前で別れたといいます。Fさんは独身で一人暮らし。だから、Fさんの生きている姿を最後に見たのがすぎやんだったという訳です。
翌朝すぎやんが出勤すると、「誰かがトラック内で死んでいるようだ」と同僚達が騒いでいました。でもみんな怖がって、誰が亡くなっているのかを確認しようとしません。最初にトラックの中に入り、亡くなっているのがFさんだと確認したのが、やはりすぎやん。職場中が、大騒ぎになったそうです。

「あのとき、職場に連絡があって、(Fさんの)妹さん、真っ青になってすっとんで帰らはったわ」と、M子さんもしみじみしていました。



2004年9月12日のすぎやん

2004年9月12日のすぎやん


この日、すぎやんの所に到着するなり、この言葉です。

施設の部屋は全て個室。入口には引き戸がついています。すぎやんは、その引き戸をいつもぴっちりと閉めています。中から鍵をかけている時もたまにあるのですが、実はこれはすぎやんの侵入者防止自衛対策。

入居者の中には、痴呆のある方がたくさんおられます。中には施設内をくまなく徘徊される方もいます。勝手に出て行こうとする人もいるので、不測の事態を防ぐために、施設入口には簡単なロックがかけられています。でも妙に知恵の回る人は、入口で誰かが出入りするのを待ちかまえていたりするんです。
スタッフの人たちは、本当に大変です。頭が下がります。

で、痴呆症の方は、自分の部屋がどこかなんて、当然覚えていません。だから、隙間さえあればどこにでも侵入します。すぎやんが今の部屋に入居する日、簡単に掃除をしようと思ってトイレをのぞくと、便器には立派な「大」が流されることなくてんこ盛りに残されていました。いやぁ、あのときはびっくらこきました。

部屋の見分けなんてつかないので、彼等にしたら知ったことではないのですが、ふと振り向くとぬーっと人が立っていたりしたら、すぎやんでなくてもびっくりしますわな。

だからいつもは部屋の扉は閉まっているのに、この日にかぎって開いていました。「なんで、開けてるの?」と聞いたら、冒頭の言葉が返ってきました。
意味、わかりません。

それにしてもこの日はなんか機嫌が悪そうで、投げやりな物言いをするのでへんだなと思っていたら、お風呂の順番を後回しにされてしまったのが気にくわなかったらしいです。わがままな、すぎやんです。そしてこんなことをぬかしてました。

「いつもいつも来てもろうて、気を遣いますわ。ほれ、見てみ。やせてしもうて」

毎日日光浴をしているので、腕は日焼けして真っ黒。血色もすこぶる良好。気の遣いすぎでやつれきったすぎやんの姿を、一度見てみたいものです。



2004年9月19日のすぎやん

2004年9月19日のすぎやん


すぎやんを担当してくれている女性スタッフが、「旅行、いかがですか〜」ってな感じで、10月・11月開催予定のミニ旅行のパンフレットを持ってきてくれました。
10月は滋賀県方面でフランス料理を食って絵画を鑑賞する日帰りツアー。11月は明治村やら妻籠宿方面まで足をのばす1泊2日ツアー。フランス料理よりも一杯飲み屋、絵画鑑賞よりも漫才鑑賞が似合うすぎやんは、10月よりも当然11月の宿泊ツアーに行きたがります。そやけど、料金を見て私の目の玉、飛び出ました。お一人様、35,000円也。必ず同伴者が必要なので、70,000円です。

1泊2日に70,000円です。高すぎます。あまりに高すぎます。行かせてあげたいとは思うのですが、大蔵大臣である私としては、許容範囲を超えてます。
そうすぎやんに伝えると、ごててましたね〜。トラック運転手時代に何度もこの方面に行ったことのあるすぎやん。懐かしさもあり、かなり行きたかったみたいです。私に熱烈アピールを試みます。

「金、ないんか」
「いや、そんな問題と違うって。あんまり高すぎる」
「そやけどSさん(施設長)も行くしなぁ。せっかく声をかけてもろうてるのに。行かへんかったら悪いやろ」
「いや、そんなことで気を遣わんでもええって」
「ここはええぞ〜。ここはな〜・・・(車で行くルートを延々と説明)」
「うん、わかってるって。ええ所やっていうことは知ってるから、もっと安かったら私も行きたい。けど、70,000円は痛すぎる」
「・・・ええとこ(いい所)やぞ〜」
「すんません。お許し下さい」
「70,000円くらい、出されへんのか」
「すんません。お許し下さい」
「・・・ええとこやぞ〜」
「・・・助けて〜!」

この壮絶な(!)やりとりを目を白黒させながら聞いていたスタッフの後ろに、思わず逃げ込んでしまった私。とにかくドライブが大好きなすぎやんのために、似合わない10月のツアーに申し込むことにしました。たぶん10月に入れば、また新たな11月開催の日帰りツアーが企画されるはずだと思いつつ。

だけどあきらめきれない様子のすぎやん、彼女が行ってしまってからも、しばらくぶつぶつと文句を言ってました。



2004年9月26日のすぎやん

2004年9月26日のすぎやん


すぎやんの部屋は、1階にあります。窓の外には植栽が植わっていて、その向こうにはフェンスがあります。フェンスの向こう側では、現在マンション建築中です。窓が南向きではないので、ちょっと日当たりも悪い。そのうえ、すぎやんの「方針」で、朝晩は網戸にして窓を開けています。
そのせいもあってか、以前から蚊の襲来に悩まされていたようなのです。

ただ最近、非常に忘れっぽくなったすぎやん、私に伝えることをすぐ忘れる。本人もそのへんは自覚していて、忘れないようにといろんなところに書き留めているのですが、どこに書いたかを忘れる。絶対忘れないようにと、部屋に小さいホワイトボードを吊して「私に何か言わなあかんこととかあったら、ここに書いとき」って言ってあるのですが、キャラメルの値段とか、リハビリの先生が来た日とか、どうでもいいことばかり書くだけで、全然用をなしていない。
だから私は、そのことを全く知らなかったのです。

この日、部屋にはいると、ぶたさんの形をした蚊取り器が置いてありました。

「この蚊取り器、どうしたん?」
「おう、職員が持ってきてくれよった。夜中、蚊がぶんぶん飛んで、寝られへん。そやから、『蚊取り線香、持ってこんかい! 寝られへんわい!』言うて、怒鳴ったった。あわてて持ってきよったわ」

あぁ、またスタッフにご迷惑をおかけしてしまった。

「なぁ、なんでそんな言い方するん? 『寝られへんから、蚊取り線香、持ってきて下さい』って、言われへんの?」
「・・・・『持ってきて下さい』って、言うたわい」

うそ、つけ。

「持ってきよったんがこれで、『こんなもん、きかへん(効果がない)わい』って、また怒鳴ったった。そやけど、きくわ。これつけてから、一匹もおらんようになった。えらいもんや」

文明の利器に驚く、昭和10年生まれのすぎやんでありました。



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