2005年1月1日のすぎやん

2005年1月1日のすぎやん


と、部屋に入るなり言われました。
正月早々、腰が抜けそうになった私です。

お正月だということで、数の子と赤飯を持っていってみました。
すぎやんは、以前は数の子が大好物でした。お正月前になると、母が手に入れた数の子の白いすじを取る作業を、一心不乱に行っていたものです。そのことをふと思い出し、年末に購入して持っていたのです。だけど、

「歯がないから食べられへん」

意外だったのは、赤飯を喜んで食べてくれたことでした。
我が家では、年始に赤飯を食べるのも恒例行事だったのですが、すすんで食べてはいなかったと思うのですが・・・不思議です。

「これ、私が炊いてんで」
「え、ほんまか。お前、料理できるんか」
「失礼なこと、言いなさんな。一応、ちょっとはできるで」
「ふーん、信じられへん。そやけど、うまいわ」
「ここでも出たんとちゃうん?」
「おう。そやけど、これの方が塩気があって、うまいわ」

お褒めにあずかり、恐悦至極に存じます。




2005年1月9日のすぎやん

2005年1月9日のすぎやん


施設に到着し、すぎやんの部屋に向かっていると、あるスタッフから呼び止められました。身構えながら聞くと、「つけ払い」の可否の確認でした。

すぎやんには、金銭感覚というものがありません。はっきり言って、皆無です。お金は、どこかから降ってわいて出るものだと思っている節があります。
すぎやんには、つけ払いを乱発してお金を使いまくったという前歴があります。それで施設の方と相談し、「つけ払いは原則禁止」という方針を立てているのです。

何がきっかけなのかよくわからないのですが、この日はお金のことで機嫌を損ね、「つけ払いは無理なんですよ」と言ったスタッフに、「わしが稼いだ金じゃ」と怒鳴ったらしいのです。
米つきバッタのように頭を下げて謝りながら、一旦つけ払いを許してしまうと絶対にきりがなくなるので、今後もしないようにお願いし、部屋に乗り込んだ私。

思った通り、この日のすぎやんは超ご機嫌ななめです。
つけ払いの件を改めて言い渡すと、「わしはもう帰らなあかん」とか「よそへ行く」とかぶつぶつとつぶやいています。

そこで、私の説教タイム。

「あんたのために、今までどれだけお金を使うてきたと思ってんの。給料ろくすっぽ家に入れんと、酒飲んで遊んで借金したおして、お母ちゃんがどれだけ苦労したと思ってんの。『わしが稼いだ金』なんて、もうないんやで。それに、どこへ行ったかって、お金はいるし、家に帰ってももっとお金はいるんやで」

すると、すぎやんの得意技炸裂。

「わしなんか殺せ。死んだ方がええわい」
「何、言うてんのよ! 関係ないやんか、そんなこと!」

老人虐待かもしれませんが、思わずすぎやんの頭をはたいてしまいました。
すぎやん、涙目。

「親にえらそうにしやがって」
「お互いに一生懸命やってるのに、そんなことを言うからや!」

帰る頃には少し落ち着いて、少し冷静になったすぎやん。情けないやら悲しいやらで、本当に疲れました。




2005年1月16日のすぎやん

2005年1月16日のすぎやん


2005年は酉年。テレビの上には、鶏の親子をかたどった石けんが鎮座しています。
お正月にはカレンダーを替え、干支をかたどった石けんをテレビの上に飾っています。いい香りがしますし、あとで使えますしね。

松の内も明けたので、石けんを片付けようとすると、すぎやんはこう言い出しました。

「何でどけるんや。かわいいのに」
「一応お正月も明けたし。これ石けんやけど、ここで使う?」
「それ、石けんなんか」
「そやで」
「鳩やな」
「違う! 鶏や!」

帰り際には、お金のことでまたひともめ。この日風邪気味だった私は、沸騰するのもめんどくさくて、何も言わずに帰りました。

しんどいですわ。




2005年1月22日のすぎやん

2005年1月22日のすぎやん


週初めに施設主催の日帰り旅行に参加した次の日から発熱し、嘔吐と下痢を繰り返していました。施設から連絡を頂いていたのですが、お腹からくる風邪ではないかという主治医の診断だったので、特に心配はしていなかったのです。

ところが、数日経過しても症状が治まりません。食べ物だけではなく、水分を取るだけで嘔吐してしまいます。それに、すぎやんは過去に「バージャー病」という血管の病気になっています。そのせいもあり、とにかく点滴が入りにくいのです。運良く入っても、すぐ漏れてしまいます。

頻繁に往診して下さっていた主治医の先生は、もしかしたら腸閉塞なのではないか、と判断されました。何よりも、飲まず食わずの状態が数日続いていたので、入院した方がよいとのことで、緊急入院が決まってしまいました。

入院時には私が付き添わなくてはならないのですが、運悪く施設から連絡があったのが、不要品引き取り業者を待っている最中の午後。お断りももうできない状態で、身動きが取れません。そのうえ、業者の到着が1時間近く遅れ、いらいらしっぱなし。
こういう時、一人っ子はつらいです。代わりに走ってくれる人がいませんから。

原付を飛ばして施設に飛び込んだのは、日も暮れた夕方。すぐ救急車を呼んでもらいました。
熱があるので顔は赤く、ぐったりとベッドに横たわっていたすぎやん。

「わし、もう、あかんな」
「大丈夫やん。入院したら、すぐよう(良く)なる」

「あかんな」と言う割には、救急車の中でもべらべらしゃべっています。

既に手配されていた搬送先の病院に到着後、すぐ検査。その結果は、やはり腸閉塞でした。また、肺炎も併発していたとのことでした。
この日は土曜日だったので、腸が詰まった原因は週明けの検査を待たなければわからない、検査結果によっては退院までに時間がかかるかもしれないというお話でした。

検査後、看護師詰所横の部屋に入り、点滴が開始されました。
そして、鼻からチューブを入れ、胃にたまっている胃酸(黄色いので『黄水』と言うらしいです)を吸い出してもらいました。あっというまに500CCくらい排出され、看護師さんも当直の先生もびっくり。
「これはしんどかったでしょう」と、すぎやんはねぎらってもらっていました。

それにしても、この病院はどのへんにあるのだろう。どうやって通おうか。
原付を取りに施設に戻るタクシーの中で、そんなことを考えていた私でした。




2005年1月23日のすぎやん

2005年1月23日のすぎやん


地図で病院の位置を確認し、駅から遠くてかなり不便な所だと判明。えらい所を手配して下さったもんだと、ちょっとげんなりしましたが、手を尽くして下さった人たちに文句は言えません。
地図を片手に原付を走らせ、途中で少し道に迷ったものの、何とか無事到着することができました。

すぎやんは、特別変わった様子はありませんが、嘔吐の回数は減ったみたいでした。ただ、「寝られへん」とぼやいていたので、普段施設で愛用しているラジオを渡すと、とても喜んでいました。

それにしても、すぎやんの我慢の仕方は何か間違っています。
どうも様子がへんだと、私はもう数ヶ月前から感じていました。どこがどうへんなのか、よくはわかりません。ただ、何となくしんどそうに見えたのです。
時々聞いていたのですが、本人にもよくわからない。

今回改めて聞いてみると、「そういや、しんどかったかな」とのたまう。

「しんどかったらしんどいって、先生に言わんとあかんやん。なんでそんなことで、見栄を張るん?」
「そやけど、(施設や医者に)迷惑がかかるしなぁ」
「だからぁ、ずっと我慢してて、結局こういう風に入院することになる方が、もっと迷惑やねんで。せっかく往診に来てもろうてんのに、『大丈夫です、元気です』って言うて、先生に見栄張ること、ないやんか」
「そやな、今度からはちゃんと言わなあかんな」

とは言うものの、「我慢強いことが美徳」だと思っている、見栄張りのすぎやん。また今後も同じ事を繰り返すんだろうな。やれやれ。




2005年1月25日のすぎやん

2005年1月25日のすぎやん


一般の大部屋に移動していました。
超音波検査では、まだほとんど腸は動いていないらしいです。ぱんぱんだったお腹は少しだけ柔らかくなっていますが、まだかなり張っていて触ると痛がります。

胃酸を排出するために、鼻にはチューブを入れたままです。ですが、すぎやん曰くこれがよくはずれるらしいのです。連日の検査と絶飲食状態が続いており、疲れとイライラは募る一方です。
「わしがはずしたと(看護師が)言いよる」と、ぶいぶい怒っています。真偽の程は不明なので、なだめるのが精一杯。

それでも、入院前に比べてだいぶ楽になった様子で、「しんどいのも、折り返し地点かな」と言い出しました。
なので、「ゴールはどこ?」と聞くと「上」とのこと。

ちなみに「上」というのは、火葬場のことです。
我が家のある市の火葬場は、山の中にあるのです。

暴れん坊将軍復活まであと少しだな、と思いつつ帰途につきました。




2005年1月27日のすぎやん

2005年1月27日のすぎやん


病院から、相変わらず腸が動かないので、現在胃まで入れているチューブを腸の奥まで入れるとのご連絡を頂きました。

夕方行ってみると、胃カメラも飲んだらしく、かなり疲れた様子でした。
でも、たくさんの先生や看護師さんがこの日はそばにおられ、「頑張れ、頑張れ」と励まして下さったとのことでした。

吐き気もなくなったすぎやんは、日毎に元気を取り戻しつつあります。べらべらとしゃべり続け、しまいには「生き返ったな」と、ひとこと。

本当に生命力のある人です。生への執着心は、相当なものです。




2005年1月29日のすぎやん

2005年1月29日のすぎやん


まだ腸の動きは悪いものの、口の動きは軽快そのもの。便が少し出た、施設のスタッフがお見舞いに来てくれた、そやけど施設長は来てくれへん、とか、べらべらとしゃべり続けます。

床頭台(しょうとうだい・ベッドの横にあるテレビ等を置く台のこと)の上に、ハイソフトが数箱置かれています。ハイソフトが大好きなすぎやんのために、施設のスタッフがおみやげに持ってきてくれたみたいでした。
だけど、まだ絶飲食状態。ハイソフトを口にできるのは、しばらく先です。

「持って帰っとくで」
「なんでや、置いとけや」
「そやけど、まだ当分食べられへんやん。あったら、欲しなるやろ。食べれるようになったら、また持ってくるし」
「そんなこと言わんと、置いとけや」

こんなことでまた親子喧嘩を始めるのも恥ずかしいので、とりあえず置いて帰ることにしました。
強引に持って帰っておけばよかったのですが・・・・。




2005年1月30日のすぎやん

2005年1月30日のすぎやん


えらいこと機嫌が悪いすぎやん。

聞くと、鼻に入れているチューブが痛いことが原因らしいのです。
元気になったとはいえ、腸の動きはまだ悪いので、チューブはまだ抜けません。それは仕方のないことなのですが、こう怒鳴って当たり散らしたらしいです。

「病院やねんから、なんとかせえ」

やれやれ、と思いつつ床頭台の上を見ると、昨日置いて帰ったハイソフトのうち、1箱の包装が開けられています。

「もしかして、食べたん?」
「食うてないわい。なんにも食わしてくれへんのに」
「そんなん言うて怒ってもしゃあないやん。今食べたら、死ぬで」
「わしなんかほっとけ、死んだらええねん」

思わず瞬間沸騰してしまった私。すぎやんの頭をはたこうとすると、この日は素早く阻止しました。

「親に手をあげやがって」
「勝手な時だけ、親やって言うて。こんな時に、親も子もあるか!」
「M子(私の従姉。すぎやんのお姉さんのお子さんにあたります)の方が、やさしい。ようしてくれる」
「してもろうたらええやんか。連絡しとくわ」

病室で大喧嘩となりました。喧嘩の元になったハイソフトを鞄に入れ、とっとと病室を出ました。すぎやんの呼びかけにも無視。

喧嘩になってもハイソフトを持って帰ればよかったと、反省した帰り道でした。




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